キャリアアップを目指し、新しいスキルを身につけたいと考えるとき、「どの技術を学ぶか」に目が行きがちです。しかし、専門的な知識や資格を取得しても、職場での人間関係や体調管理、基本的な労働習慣が整っていなければ、長く働き続けることは難しいのではないでしょうか。
今回は、障がいのある方の就労支援・能力開発を長年担ってきた「大阪障害者職業能力開発校」の訓練指導課長・明賀 保仁さんにインタビューを実施しました。多様な障がいに対応した万全のサポート体制、さらに修了後も続く手厚い定着支援について深掘りしていきます。
「働き続けるための技術」を学ぶ場所:設立の歴史と理念

大阪障害者職業能力開発校は、昭和前期から続く歴史ある施設です。時代とともにその役割を変えながらも、現在も「働き続けるための力」の習得を最大の目標に掲げています。
現在は、様々な障がいをお持ちの方に対して、職業の技術や、働き続けるための力を学んでいただく訓練校です。
専門スキル習得より大切な土台:「就労準備性ピラミッド」に基づく独自の訓練プログラム

WebデザインやCADなど特定の専門スキル習得よりも、まずはそれを活かすために「土台」づくりが大切です。その理念を象徴する「就労準備性ピラミッド」とは一体何でしょうか?
「就労準備性」とは、具体的には健康管理、日常生活の管理、それから対人スキルなどです。会社に入っても、人間関係がうまくいかなくて辞めてしまうという方も多くいらっしゃいます。これは、単に仲良くするということではなく、コミュニケーションが適切に取れないことで不信感を抱かれるケースがあるためです。
「就労準備性ピラミッド」というものがあり、下から「健康管理」「日常生活管理」「対人スキル」「基本的労働習慣」、そして一番上に「職業適性」と積み重なっています。 例えば、一番上の「職業適性」としてWebの技術を学んでも、土台となる「毎日会社に行く」という健康管理ができていなければ、学んだ技術がまったく活かされません。この土台がいかに大事かということを、訓練生の方々に理解していただくようにしています。
安心を支える個別サポート体制:看護師常駐、少人数クラス、そして全国から利用可能な入寮制度

大阪障害者職業能力開発校では、障がいの特性に合わせて万全のサポート体制を敷いています。具体的に、どのようなサポートが用意されているのでしょうか。
また、訓練中に体調や心の不調を訴える方もいらっしゃいますので、校内には看護師、それから精神保健福祉士の資格を持ったスタッフが常駐しています。
訓練校で学んだ技術が活きる:就職後の定着支援で見える修了生のリアルな声
実際に社会で活躍する修了生たちは、訓練校での学びをどのように活かしているのでしょうか。修了生の喜びの声の背景には、安定就労を支える手厚い「定着支援」がありました。
長く働き続けたい方へ:就職後も続くサポートで実現する、確かなキャリアアップ

キャリアの新たな一歩を踏み出したいと考える皆様へ、大阪障害者職業能力開発校からの力強いメッセージをお届けします。
長く働き続けたい方や、さらなるステップアップを目指したいとお考えの方は、ぜひ一度、当校に見学にお越しください。
入校後に「想像と違った」と感じるケースが、ご自身にとって一番辛いことだと思いますので、まずは訓練の様子をご覧いただくことをおすすめしています。訓練内容について職員からしっかりとご説明します。そのうえで、ご自身に合っているか、自分に足りないところはどこなのかを考えていただき、ご応募いただければ幸いです。
転職ガイド運営チーム後記
今回のインタビューを通して、大阪障害者職業能力開発校のこだわりは、目先の技術習得ではなく、キャリアを継続させるための「土台」を固めることにあると明確になりました。多様なニーズに対応した個別サポート、そして専門家が常駐する安心の環境も魅力です。特に、就職後も職場と本人の調整を担う継続的な「定着支援」は、新しいキャリアでつまずくことなく、長く活躍したいと願う方にとって、心強いバックアップとなるでしょう。入校後のミスマッチを防ぐためにも、まずは見学会の参加を検討してみてください。
大阪障害者職業能力開発校の詳細
要項
| 対応職種 | 製造業技術職(CAD技術者、品質管理等)、事務職、印刷業技術職 事務補助職、製造業、事務補助職、倉庫業軽作業職、倉庫業軽作業職、食品製造職、清掃職 など |
|---|---|
| 所在地 | 大阪府堺市 |
| 定員 | CAD技術科:15名 OAビジネス科:20名 Webデザイン科:15名 オフィス実践科:10名 事務ステップアップ科:各10名(年間20名) Jobチャレンジ科:各5名(年間10名) ワークサービス科:25名 |
| 訓練期間 | CAD技術科:1年 OAビジネス科:1年 Webデザイン科:1年 オフィス実践科:1年 事務ステップアップ科:6か月 Jobチャレンジ科:6か月 ワークサービス科:1年 |
| 訓練時間帯 | 概ね午前9時ごろから午後4時ごろ(科目により違います) |
| 受講形式 | 通校 |
| 開講頻度・募集時期 | 4月開講(全科目) 募集時期:11月~3月 10月開講(事務ステップアップ科、Jobチャレンジ科のみ) 募集時期:6月~9月 |
| 受講費用 | 授業料は無料。 その他に教科書、作業服、工具等の購入代金が必要(下記参照)(資格試験受験料等は別途必要) CAD技術科:15,000円程度 OAビジネス科:25,000円程度 Webデザイン科:30,000円程度 オフィス実践科:20,000円程度 事務ステップアップ科:17,000円程度 Jobチャレンジ科:10,000円程度 ワークサービス科:15,000円程度 |
| 受講生に対する支援 | ・訓練期間が1年以上の科目の通校費については、交通機関の学割が適用される場合あり。 ・ハローワーク所長の受講指示を受けている方は、雇用保険が延長して給付されるなどの援護措置が適用される場合あり。 ・ハローワーク所長の支援指示を受けている方は、職業訓練受講給付金や求職者支援資金融資を受けることができる場合あり。 ・ひとり親家庭の親の方で援護措置が適用されない場合、母子・父子寡婦福祉資金の貸付制度を利用できる場合あり。 |
カリキュラム詳細
訓練カリキュラムの概要
- CAD技術科
機械の設計図面に関する知識や技能を習得します。機械製図や品質管理に関する知識、CAD(図面作成ソフト)操作や3Dプリンタでの造形などを学ぶことが出来る。一般事務にも対応できるようワープロ・表計算ソフト等の操作手法も学ぶ科目です。 - OAビジネス科
事務職に必要なパソコンによる事務技能を習得します。商業簿記・工業簿記・コンピュータ会計の知識に加え、プレゼンテーション能力を養成し、ワープロ・表計算・データベースソフト等のオフィス関連ソフトを使いこなすための知識と技能を学ぶ科目です。 - Webデザイン科
ホームページに関する様々な知識と技能を習得する。ホームページに使われるHTML、JavaScript等の技術やデザインなどの知識、各種制作ソフト(描画・写真加工・動画制作等)の技能を学びます。一般事務にも対応できるようワープロ・表計算ソフト等の操作手法も学ぶ科目です。 - オフィス実践科
ワープロ・表計算・プレゼンテーションソフトなどのパソコン操作、書類のファイリングや仕分けなどの事務作業等を幅広く習得します。就労経験や事務職の経験が少ない方にもお勧めの科目です。重度視覚障がいの方も学んでいただける支援機器を整えています。 - 事務ステップアップ科
就労に向けて自信を付ける事を目標に、オフィスソフト関連の資格取得対策や事務系訓練、それらを実践する職場実習などが中心となります。さらにSST(社会生活技能訓練)やビジネスマナーを通して自分の特性・課題への理解を深め、職場適応能力・コミュニケーション能力も学ぶ科目です。 - Jobチャレンジ科
SST(社会生活技能訓練)やビジネスマナーを通して自分の特性・課題への理解を深め、職場適応能力を習得します。様々な技能訓練、シミュレーション、職場体験実習等で学んだ知識を実践し、就労に向けてのコミュニケーション能力を学ぶ科目です。 - ワークサービス科
物流・事務補助・ものづくり・清掃作業などの分野の知識や技能を習得します。仕事に必要なチームワークやビジネスマナー、作業体力を身に付け、長期就労をめざすための適応能力を高め、自分にあった就職先をめざす科目です。
提供しているコース・訓練内容
- CAD技術科、OAビジネス科、Webデザイン科、オフィス実践科(4科目全て障がいのある方を対象とした科目、障がいの種別は問わない)
- 事務ステップアップ科(精神障がいのある方を対象とした科目)
- Jobチャレンジ科(発達障がいのある方を対象とした科目)
- ワークサービス科(知的障がいのある方を対象とした科目)
使用する教材・機材
- CAD技術科:CAD操作用PC、3Dプリンタ等
- OAビジネス科:PC等
- Webデザイン科:グラフィックソフト使用PC等
- オフィス実践科:PC等 ※重度視覚障がいの方向けの支援機材等
- 事務ステップアップ科:PC等
- Jobチャレンジ科:PC等
- ワークサービス科:PC等
取得可能な資格
- CAD技術科:品質管理検定(3・4級)、2次元CAD利用技術者試験、コンピュータサービス技能評価試験(ワープロ部門)、コンピュータサービス技能評価試験(表計算部門)
- OAビジネス科:簿記能力検定(全国経理教育協会)、簿記検定(日本商工会議所)、日商プログラミング検定VBA、コンピュータサービス技能評価試験(表計算部門)、日商PC検定文章作成・データ活用
- Webデザイン科:ITパスポート試験、コンピュータサービス技能評価試験(ワープロ部門)、コンピュータサービス技能評価試験(表計算部門)、色彩検定(2・3級)
- オフィス実践科:コンピュータサービス技能評価試験(ワープロ部門)、コンピュータサービス技能評価試験(表計算部門)
- 事務ステップアップ科:マイクロソフトオフィススペシャリストWord(一般)、マイクロソフトオフィススペシャリストExcel(一般)、日本語ワープロ検定試験2・準2級、情報処理技能検定(表計算)2・準2級
- Jobチャレンジ科: コンピュータサービス技能評価試験(ワープロ部門)、コンピュータサービス技能評価試験(表計算部門)
- ワークサービス科:フォークリフト運転(荷重1t未満)特別教育、コンピュータサービス技能評価試験(ワープロ部門)、コンピュータサービス技能評価試験(表計算部門)
実習の有無
Jobチャレンジ科、事務ステップアップ科の2科目では、職場体験実習をカリキュラムとして実施している。
その他の科目は、希望する就職のイメージに応じて企業実習を実施している。
訓練施設の設備
各科ごとに実習室があり、一人1台PCを用意している。
他の訓練校と比較した強み
充実した施設設備や訓練カリキュラムに加え、職業訓練指導員だけではなく看護師や精神保健福祉士等幅広い職種の職員が常駐でいる為、障がいのある方が安心して職業訓練を受講できる環境が強みである。
教育方針・カリキュラム作成の方針
本校は、昭和14年の開設以来の伝統と、多くの修了生を送りだしてきた実績をもつ、障がい者のための職業能力開発施設である。「めざせ就職!学ぼう技能!」を合言葉に、障がい者の社会参加・職業自立をめざす。
PRポイント
障がい者の方のスキルアップのために設置された職業訓練校のため、バリアフリーなどの設備面をはじめ、手話通訳などの体制面も充実しています。
また、遠方の方には寮も用意しています。
受講を検討している人へのメッセージ
まずはオープンキャンパスに参加し、生徒の訓練風景を見ていただければと思います。その際に、校の概要や各科の訓練内容などを説明させていただきます。
実績
| 企業との連携の有無 | 有 |
|---|---|
| 連携している企業・業界 | 科目の内容により様々な業界との付き合いがある。 |
| 求職者支援の有無 | 就職支援の専任スタッフが、求人票の見方、履歴書等の応募書類の書き方、面接の受け方など具体的な就職活動の”いろは”について、親身に支援を行う。 |
| 受講後の進路 | 令和6年度の就職率は84.6% それぞれの科目が目指す業界を中心に就職されている。 |
キャンパス
| 所在地 | 〒590-0137 大阪府堺市南区城山台5-1-3 |
|---|---|
| 設立年 | 1939年 |
| 電話番号 | 072-296-8311 |
| メールアドレス | 非公開(お問い合わせについては大阪障害者職業能力開発校ホームページのお問合せフォームからとなります。) |
| 学校HP | https://www.pref.osaka.lg.jp/o110170/tc-shogaisha/hp/index.html |

