「自然の中で働きたい」「いつか農業に挑戦してみたい」――そんな漠然とした憧れを抱きつつも、一歩踏み出せずにいませんか?
未経験からこの世界に飛び込み、長く根付くためには何が必要なのか。福島県で15年にわたり受講生を送り出してきた「未来ノチカラ農業訓練校」学校長の佐藤 政幸さんにお話を伺いました。
そこには、キャリアのリスクを最小限に抑えつつ、一生助け合える「人との繋がり」を築くための深い哲学がありました。あなたの「やりたい」を「できる」に変え、次へ進む勇気を与えてくれる農業訓練の最前線に迫ります。
開校目前の震災を経て深まった、社会課題解決への想い:農業を志す人の「初めの一歩」を支える

開校直前に震災が発生するという予期せぬ事態に見舞われながらも、入学を予定していた1期生全員が集結しました。彼らの熱意に触れて深まった、ビジネスの枠にとどまらない「社会課題の解決」としての農業教育の思いを伺いました。
学校長
当校を受講することによって、実際の農作業のやりがいや大変さ、目的意識を持てるかどうかを、ご判断いただくことができると思っています。
学校長
学校長
学校長
定員15名に対して15名の応募をいただいており、そのうち5名は首都圏から来られる方だったので、風評被害の影響も含めて今回は辞退されるのではないかと思っていました。ところが、誰一人欠けることなく15名全員が集まってくださったことに、非常に感動したのを覚えています。
東京から来られた方に「ご家族からの反対はありませんでしたか?」とお聞きしたのですが、「それ以上に農業について学びたいという思いが勝った」「実際に福島で暮らしていらっしゃる方がいるのだから、特に心配はしていなかった」とおっしゃっていました。農業に対して非常に熱い思いを持った若い方が多いのだなと、深く感動しました。
学校長
収穫だけが農業ではない:現場の「リアル」を五感で学ぶ独自カリキュラム

華やかな収穫のイメージだけで飛び込むと、理想と現実のギャップに驚くかもしれません。同校では、石拾いや側溝掘りといった「見えない農作業」の重要性を説き、現場の厳しさを肌で感じるための実践的な「共育」を徹底しています。
学校長
農業は、とにかく体を動かさなければならないという大前提があります。これは「言われて初めて動く」のではなく、例えば雇用されて農業をやる場合でも、最終的に独立して自分でやりたいという場合でも、いずれにせよ「自分がこの農場を経営している」くらいのつもりで動くことが一番のポイントになります。
しかし、それを言葉で伝えられてすぐに理解できる方はなかなか稀で、ご自身で気づいていただくことがやはり重要だと思っています。そういう意味でも、農家さんのお話を聞いたり、自分で農作業をやってみたりして、自分のやり方と実際の農家さんの動きがどのくらい違うのかを見て、比べて、感じていただくというところが、訓練の中でも非常に重要なポイントになっています。
学校長
毎週1日だけ座学があり、それ以外の日は作業訓練として畑で農作業をしたり、農家さんのところに直接伺ったりします。週に1回の座学は、全くの基礎からスタートします。「1反(いったん)は何平米ですか」「畝間(うねま)とは何のことですか」といったところから始めます。
最終的には、農業会議所が実施している「農業技術検定3級」という資格の取得を目指します。これがなければ農業ができないというものではなく、自分が学んだことでここまでできるようになったと自信を持っていただくために、訓練では任意で受検していただいています。現在では受検された方の90%以上が合格していますし、当校は試験会場にもなっているので、普段通い慣れた場所で受けられるためあまり緊張せずに済むという点も大きいと思います。
学校長
目的としては大きく2つあります。1つは、実際の農家さんでの仕事を体験すること。もう1つは、農家さんごとに「どういう作物をどういうふうに育てているのか」「経営する上で一番気をつけていることは何なのか」といったことを具体的に質問する時間を取っていただくことです。
学校長
収穫など華やかな農作業はイメージしやすいですが、実際に農業に携わっていないと見えてこないような作業がたくさんあります。そういった部分を実際に経験していただくことで、自分が実際に農作業を仕事にした時のイメージをより鮮明にしていくことにつながっていると思います。
現場で信頼される鍵は「スピード」にあり:丁寧さの先にあるプロの基準を身につける

プロの農家から「この人なら任せられる」と信頼を得るために必要なのは、丁寧さだけではありません。限られた時間の中で最大限の成果を出すための「スピード感」という、未経験者が最初に見落としがちなプロの壁について紐解きます。
学校長
ですので、まずは農家さんに雇ってもらえる程度の基礎力を身につけることが第一の目的となります。農家さんがどのような基準で採用したいと考えるかというと、「気が利く」や「能動的に動いてくれる」といった要素は大前提として求められます。その上で、他の方と差別化できるポイントは、作業を任された時の「スピード感」です。作業が速いかどうかは非常に大きな評価基準となります。
学校長
性格的にどうしても丁寧さを犠牲にできない方もいらっしゃいます。そういった方々には、「農家さんはこういう思いを持っていますよ」とお話ししています。農家さんに雇用されて働く際に、「この人は作業があっという間に終わってありがたい。じゃあ次の仕事をお願いしよう」と思っていただけるようになるためには、どのような作業訓練をしていけばよいのか。そこが重要なポイントだと考えています。
学校長
農家さんは生活がかかっているので、否応なく「やるしかない」と分かっています。しかし、雇われる側が「時給」という考え方を持っていると、少し難しい部分があります。スピードが速い人も遅い人も同じ時給だと納得がいかないこともあるかもしれません。ですが、「作物をきちんと育てて収穫するためには、これくらいの作業スピードでやらなければならないのだ」ということを理解する必要があります。「農家さんもそういう目線で皆さんのことを見ているよ」ということを最初から理解していると、訓練の受け方も大きく変わってくるはずです。
学校長
独立を支えるのは「一生モノの絆」:土地探しから師弟関係まで、地域に根ざすための定着支援
農業で独立を目指す際に立ちはだかる最大の障壁は、実は技術よりも「土地探し」や「地域との繋がり」です。卒業後も助け合える仲間とのネットワークや、農家から土地を託されるために不可欠な「師弟関係」の築き方など、同校ならではの厚い支援に迫ります。
学校長
また、自分で就農する際の支援についてですが、現在は行政の支援がかなり手厚くなっています。訓練の座学の中には「農業経営」という科目があり、そこで「こういう支援制度があるよ」「自分で就農する時には、こういう窓口に相談に行って、こういう就農計画の作り方をして提出するといいよ」といった具体的な指導も行っています。卒業してから「独立するのですが、農地を探すにはどういう方法がありますか?」と相談に来られる方もいらっしゃいます。
学校長
借りる農地を探すには人脈も必要になります。その際、一番の鍵になるのは「雇用されて働く農家さんとの師弟関係」です。そこで農地を紹介してもらえることもあります。
また、独立就農した後も、農業には毎年初めて経験することが出てきます。ですから、この「師弟関係」を引き続き維持し、独立した後も教えてもらえる関係や、場合によっては農業機械を貸してもらえる関係を作りながら独立していくことが大事だと伝えています。
学校長
学校長
元々、地域コミュニティの中心には農業があり、技術の伝承や「結(ゆい)」と呼ばれるお互いに助け合う仕組み、文化の伝承などが農業の中に根付いていて、みんなで共有してきた背景があります。「一緒に農作業をやる」ということがコミュニティを作る上で非常に強く作用する部分はありますね。
学校長
しかし、受け入れる農家さんからすると、最初の1〜2年は給料を払いながら教えている「投資」の状態です。そのため、「2年働いたから辞めて独立します」と言われると、農家さんとしては投資した状態で辞められてしまうことになります。
3年目でようやく自分でも考えながら能動的に動けるようになりますが、まだ失敗はします。4年目になってくると一人前に近づき、5年目でようやく収益を上げられるようになってくる。そういったプロセスを踏まえ、「なるべく長く働いて、雇用してもらい投資してもらったことに対して恩返しをし、独立する時に応援してもらえる立場になりましょう」とお話ししています。
例えば、1年だけ働いて「独立支援制度もあるので独立します」と辞めて就農した人がいました。もちろん農家さんは「1年の経験では無理だよ」と止めるのですが、「いや、自分はできますから」と無理して独立してしまう。その後、何か困ったことがあっても、雇用されていた農家さんのところに相談に行けなくなってしまうのです。すると、ネットで調べたり、独学でやってしまったりと、負の連鎖が始まってなかなかうまくいきません。
だからこそ、なるべく長く働いて、独立する時に応援してもらえる体制を作ることが重要です。「何でも相談に行ける」「何かあった時には手伝いに行くよ、うちの機械を使いなよ」と言ってもらえる関係になるためには、最初の数年間は「研修を受けさせてもらいながら給料をもらっている」ということを深く理解した上で独立就農の道を進んでほしいと伝えています。
学校長
IT畑から土の畑へ:多様なバックグラウンドが切り拓く「令和の農ライフ」

近年、異業種から農業へシフトする人々が増えており、特にIT業界出身者が新しい風を吹き込んでいます。専業農家という枠に縛られず、個々のスキルを活かしながら「令和の農業」を自分らしくデザインするためのヒントがここにあります。
学校長
特に首都圏出身の方は、まず田舎の人間関係や方言などにも慣れていく必要があります。例えば、「それは方言であって、農家さんは別に怒っているわけではないですよ」といった文化の違いを理解した上で、最終的に師弟関係を築くところまで到達する必要があるので、地元の方とはまた少しハードルが違うという側面もあります。
学校長
それは、我々から教えるというよりも、実際の農家さんとの触れ合いの中で学んでいく部分が大きいです。農家さんは、一般の方が「何を知らないのか」が分からないため、「そんなことも知らねえのか」とよくおっしゃるのです。まずはそれを気にせずに「知らないんです。教えてください」と素直に言えるところからスタートしていただきたいと考えています。
これまで見てこられた受講生の中で、特に印象に残っているエピソードがあれば教えていただけますでしょうか。
学校長
そういった方は、ITのスキルを活かした農業や販売手法などを実践されており、我々にとっても大変参考になります。今後はAIなどの技術を無視しては通れない時代です。我々や既存の農家さんでさえ経験したことのない「新しい農業の形」を視野に入れつつも、先ほど申し上げたように「まずは農家さんの言うことを100%聞きながら、新しい情報も得ていく」という姿勢が重要になってくると考えています。
学校長
学校長
「撤退する勇気を持ちながら一歩ずつ進んでいく」ということが大切ではないでしょうか。最初の第一歩は「職業訓練」くらいに留めておき、どうしても難しいと感じた時は、数ある選択肢の中から違う職業を選ぶこともできます。「農業ができなければ、もう後がない」という状態ではなく、あくまで選択肢の一つとして捉えていただきながら通っていただくことが重要だと考えています。
学校長
このように、軽いフットワークで農業に参入していくというのも一つの選択肢です。その際に「直売所で売れるためにはどうしたらいいのか」といった授業で学んだ知識を活かしていただいたり、同期とのネットワークの中で情報交換をしたりと、様々な形で学びを活用していただければと思います。
転職ガイド運営チーム後記
農業を仕事にするのは、地域のコミュニティに溶け込み、支え合う生き方を選ぶことです。未来ノチカラ農業訓練校は、入り口で「本当に向いているか」を冷静に見極める場を提供し、将来のリスクを最小限に抑えています。
新しいキャリアに迷っているなら、まずは「職業訓練」として土に触れてみてください。そこで得られる技術や仲間との絆は、農業以外の道を選んだとしても、あなたの人生を支える確かな「力」になります。一歩踏み出す覚悟と、時には見極める勇気を持って、あなたの未来を耕し始めてみませんか。
未来ノチカラ農業訓練校の学校詳細
要項
| 対応職種 | 農業 |
|---|---|
| 所在地 | 福島県会津若松市 |
| 定員 | 各回15名 |
| 訓練期間 | 6ヶ月 |
| 訓練時間帯 | 9:20~15:00 (夏季7月~9月 5:30~10:55) |
| 受講形式 | 通学 |
| 開講頻度・募集時期 | 年4回 |
| 受講費用 | 無料 (テキスト代、ほ場までの交通費、作業着等除く) |
| 受講生に対する支援 | ハローワーク規定による |
カリキュラム詳細
訓練カリキュラムの概要
安全衛生、農業概論、有機農業基礎知識、野菜水稲栽培の基礎知識、
病害虫防除、農業経営、農業コミュニケーション、就職支援、農業実技
提供しているコース・訓練内容
農業技術習得科
使用する教材・機材
農業技術検定3級テキスト その他オリジナル教材、農業機械等
取得可能な資格
修了後(任意の受験による) 取得可能資格 農業技術検定3級
(認定機関名: 日本農業技術検定協会)
実習の有無
農家受け入れによる職場体験
訓練施設の設備
訓練用圃場2ヘクタール、ビニールハウス、農業用機械、座学用教室設備
他の訓練校と比較した強み
訓練専用圃場での実技、就農に対する行政支援の充実
農業経営の事例情報数
教育方針・カリキュラム作成の方針
農業に興味のある方が、実際に農作業を経験し、農業を仕事にするかを判断するためのカリキュラム。
PRポイント
1. 「就職につながる」実践型農業訓練
座学中心ではなく、実際の農家・圃場での実地研修を重視。
栽培・収穫・出荷・販売までを一連で学び、即戦力として現場に出られる力を養います。
2. 未経験からでも安心のステップ設計
農業未経験者を前提としたカリキュラムを採用。
基礎から丁寧に学べるため、異業種からの転職・再就職にも対応しています。
3. 地域とつながる“現場密着型”教育
地域農家、自治体、関係団体と連携した訓練により、
地域課題を理解し、地域に必要とされる人材を育成します。
4. 就農・就職・起業まで見据えた支援体制
訓練修了後をゴールにせず、
- 就農(独立・継承)
- 農業法人への就職
- 関連産業(6次化・流通・観光等)
までを見据えたキャリア相談・マッチング支援を実施します。
5. 農業+αのスキルが身につく
栽培技術だけでなく、
- 販売・PR(SNS活用)
- コミュニケーション
- 地域活動・チームワーク
など、これからの農業に必要な複合スキルを習得できます。
6. 「人を育て、地域を元気にする」理念
未来ノチカラ農業訓練校は、
単なる技術習得の場ではなく、
人と地域の未来をつくる人材育成の拠点です。
受講を検討している人へのメッセージ
農業に興味はあるけれど、経験がない。
仕事にできるのか、続けていけるのか、不安を感じていませんか。
未来ノチカラ農業訓練校は、未経験からでも安心して学べる実践型の訓練校です。
現場での体験を重ねながら、仲間や地域とつながり、自分に合った農業のかたちを見つけていきます。
「やってみたい」という気持ちが、第一歩です。
あなたの挑戦を、私たちは全力で支えます。
実績
| 過去の受講生の属性 | 20代から60代まで 非農家(農業未経験)の方が多く前職は様々。 男女比率は、ほぼ50:50 |
|---|---|
| 連携している企業・業界 | 福島県をはじめ行政との連携による農業支援情報を共有 |
| 求職者支援の有無 | キャリアカウンセリング、面接指導、履歴書添削 |
| 受講後の進路 | 農業未経験の方が受講して農業を仕事にするか判断するための期間 就農(雇用)する方と他業種に就職する方がいます |
| 就職・転職成功事例 | 卒業生の就農者 トマト部会長 ミニトマト部会長、農業法人設立者等輩出 |
キャンパス
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|---|---|
| 電話番号 | 0242-85-6735 |
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