「今のスキルのままで、この先のキャリアは大丈夫だろうか」
「未経験から新しい分野に挑戦したいけれど、何から始めればいいのかわからない」
そんな不安を抱えていませんか? 単に職を得るだけでなく、自分自身が「何をしたいのか」「何ができるのか」を見つめ直し、納得のいくキャリアを築くためには、確かな「技能」という強みが必要です。
そこで注目したいのが、埼玉県にある職業訓練施設「埼玉県立川越高等技術専門校」です。同校は半世紀以上の長きにわたり、地域経済を支える数多くの技能者を輩出してきました。
特筆すべきは、幅広い世代が共に学び、切磋琢磨する多様な環境と、一人ひとりの背景に寄り添う徹底した支援体制です。
本記事では、同校が高い実績を誇り続けている秘訣、そして未経験者が安心して新たな一歩を踏み出せる理由を、校長・由井 秀明さんへのインタビューを通じて解き明かします。
優れた技能と豊かな人間性を育む――川越高等技術専門校が掲げる「人格形成」の理念

技術を磨くのはもちろんですが、それ以上に川越高等技術専門校が大切にしているのは「人格形成」です。幅広い世代が共に学び、支え合う環境の中で、どのような人間力が育まれているのでしょうか。
1クラス20人〜30人という限られた人数の中でグループワークを行い、互いに補い合っています。実際の現場では一人で作業するよりもチームを組んで仕事に取り組むことが多いため、そうした実践的な要素を訓練に取り入れるよう常に心がけています。
県内唯一の「木工工芸科」と「技能五輪」への挑戦。全国から熱意ある志願者が集まる強み

なぜ、遠く北海道や九州からも入校希望者が集まってくるのでしょうか。そこには、県内唯一の学科や全国レベルの技能を競う挑戦の場など、同校ならではの圧倒的な特色がありました。
まずは、「木工工芸科」の特徴について教えていただけますか?
関東近郊でも木工を扱う訓練科はありますが、概ね30歳以下といった年齢制限が設けられていることが多いです。その中で当校は年齢制限がないため、比較的年齢の高い方でも入校できるという強みがあります。実際に、埼玉県外から入校されている方もいらっしゃいます。
続いて、「金属加工科」についてもお伺いできますか?
家具や建具などの木製品の製作に興味がある方や、金属加工に興味がある方は、ぜひ当校に入校していただければと思います。
合格率100%の資格も!実物機材と少人数制が支える、実践力を養う「きめ細かい指導」

資格は就職の強みになるからこそ、同校の指導は極めて徹底しています。少人数制を活かした個別指導と、教科書だけでは得られない「本物の機械」を使った試験対策についてお伺いしました。
例えば、「電気工事科」については、電気工事士という資格を取得し、実際の現場で活躍できる人材を育成しています。まず第2種電気工事士の資格取得を目指していただくのですが、試験には学科と技能(実技)の2つがあります。学科試験については過去の問題を繰り返し解くなどの対策を行い、技能試験については、40分以内という制限時間内に与えられた課題をクリアする必要があるため、試験直前まで何度も繰り返し練習を行います。
そのため、本番と同じように限られた時間の中で課題をこなせるよう、繰り返しきめ細かい指導を行っています。その結果、第2種電気工事士試験につきましては、近年、合格率100%を維持しています。さらに難易度の高い第1種電気工事士の資格も1年間のうちに取得可能で、こちらは100%とはいきませんが、それでも80%〜90%以上という高い合格率を出しています。
一般の方でも資格試験は受けられますが、実機がない中で教科書を見て問題を解くのとは違い、実際の機械を見て「こういう動きをするんだ」ということを教えることで、よりイメージがしやすくなります。そのような取り組みが、全国平均よりも高い合格率につながっているのではないかと思っております。
ただ、実機をどのように試験対策や訓練に取り入れるかは、各校独自のものだと思います。川越高等技術専門校としては、しっかりと資格を取得できるように、実機に触れる機会を増やすといった工夫を行っています。
高い就職率を支える「個に寄り添う伴走支援」。校内での合同企業説明会も開催

1年コースにおける就職率100%という実績は、決して時代の追い風によるものだけではありません。高校新卒から社会人経験者まで、一人ひとりの背景に合わせた「徹底的な伴走支援」の裏側に迫ります。
その上で、当校でもハローワークと同じように職業紹介ができるため、各企業から求人票を直接受け付けております。科によって求人数にばらつきはありますが、多い科だと数百の企業から求人が届きます。
訓練生に対しては、もちろん求人票の提示も行いますが、担当の職業訓練指導員が個々の訓練生に寄り添い、本人の希望をヒアリングして個別相談を実施しています。訓練生は年代が幅広く、社会経験が豊富な方は応募書類の作成方法をご存知ですが、高校を卒業したばかりの訓練生はまだ分からないことも多いです。そのため、それぞれの訓練生に応じた指導を行っています。
また、面接も慣れていないと難しいため、模擬面接を何度も行うなど、希望する就職が叶うように支援しています。一般的な取り組みかもしれませんが、これらを一つひとつ丁寧に行っていることが強みであり、就職率100%につながっている要因ではないかと考えております。
面接の形式そのものに、職種による大きな違いはありませんが、技術職の面接では「訓練校で何を学んできたか」「取得した資格をどのように業務で活かせるか」といった、より実務に直結した対話が重要視される傾向はあると言えます。また、企業側がどのような人材を求めているのかを直接聞くことができるため、ミスマッチが少なくなるというメリットもあります。
1回あたり10社ほどの企業にお越しいただき、まず初めに各企業から数分間のプレゼンテーションをしていただきます。その後、10個の個別ブースを設け、訓練生が興味のある企業のブースを訪問し、一定時間ごとに交代して直接企業の担当者とやり取りをするという形式です。大学生向けの就職面接会によくあるスタイルですね。
実際に、この場で就職が決まる訓練生もいます。就職活動の経験がない若い訓練生にとっては、自分がどのような仕事に興味があるのか、企業がどのような人材を求めているのかを知る良い機会になります。自宅からの距離、給与、勤務時間など、重視する条件は人によって異なりますから、そうした条件を直接確認できる場を設けております。
「未経験でも、何歳からでも大丈夫」。キャリアチェンジを検討する方へのメッセージ

新しい世界へ飛び込む不安を、どうやって「一生モノの技術」への自信に変えていけばいいのでしょうか。最新のAR技術を取り入れた体験訓練など、未来を切り拓くための具体的な一歩について伺いました。
現在は人手不足と言われており、特別な技能がなくても就職しやすい状況ではあります。しかし、改めてご自身が何をしたいのか、何ができるのかを見つめ直し、よく考えていただきたいです。その上で、当校では体験付きのオープンキャンパスや施設見学、入校相談会なども随時開催しております。入校をご検討されている方は、ぜひそのような機会にご参加いただければと思います。
オープンキャンパスに来ていただいた際には、このシステムを実際に体験してもらっています。また、最近ではハローワークでも体験付きの説明会を実施しています。電気工事科なら簡単な回路を作ったり、木工工芸科なら木製品を加工したりするのですが、金属加工科のこのシステムは持ち運びが可能なので、モニターをつけて自分の作業を採点することもできます。
デジタル技術を活用した新しい訓練も行っているとPRしており、実際に体験していただいた方からは「こういうものもあるのですね」と驚きの声をいただいています。
職業訓練というものは、時代と共に変わっていかなければならない部分もあります。予算の都合上、すべて最新の機械を導入できるわけではありませんが、時代に合った訓練に見直していくという考えで進めており、その点において好意的な反応をいただいております。
言葉で説明するだけでは伝わりにくい部分もあるかと思いますので、このように実際に機材に触れていただく機会を、繰り返し設けていきたいと考えております。
転職ガイド運営チーム後記
インタビューを通じて、川越高等技術専門校は人生の「再スタート」を全力でバックアップしてくれる場所であることが、明らかになりました。年代が異なる仲間と共に学び、お互いをサポートし合う環境は、技術以上の財産となるでしょう。「今の自分を変えたい」という熱意があれば、経験も年齢も関係ありません。まずはオープンキャンパスや施設見学会に参加し、実際に機材に触れ、学校の雰囲気を感じることから始めてみてください。あなたの「やってみたい」という気持ちが、高い就職実績に裏打ちされた新しいキャリアへの第一歩となるはずです。
埼玉県立川越高等技術専門校の学校詳細
要項
| 対応職種 | 電気工事 建設業 製造(金属加工) 製造(木製品加工) ビル管理 |
|---|---|
| 所在地 | 埼玉県川越市 |
| 定員 | 〇1年コース 金属加工科:20人 電気工事科:30人 木工工芸科:30人 〇短期コース ビル管理科:30人(6か月) |
| 訓練期間 | 〇1年コース(1年間): 金属加工科、電気工事科、木工工芸科(4月入校、翌年3月修了) 〇短期コース(6か月間): ビル管理科7月生(7月入校12月修了)、ビル管理科1月生(1月入校6月修了) |
| 訓練時間帯 | 午前8時45分から午後4時10分 |
| 受講形式 | 通学 |
| 開講頻度・募集時期 | 〇1年コース: 金属加工科、電気工事科、木工工芸科の3科は毎年4月に入校します。募集は推薦選考の受付が10月から始まり、1次募集10月、2次募集11月となっています。1次募集の選考で定員に達しない場合は、2次募集を行っており、3次、4次募集を実施する場合もあります。 〇短期コース(6か月): ビル管理科は、訓練期間が6か月であり、毎年7月・1月に入校します。7月入校生の募集は、1次募集4月、2次募集5月となっています。1次募集で定員に達しない場合は、2次募集を行っています。 また、1月入校生の募集は、1次募集10月、2次募集11月となっています。 |
| 受講費用 | 〇1年コース: 授業料年額118,800円(教科書や作業服等については別途自己負担) 〇短期コース(6か月): 授業料無料(教科書や作業服等については別途自己負担) |
| 受講生に対する支援 | 授業料減免制度 |
カリキュラム詳細
訓練カリキュラムの概要
〇金属加工科:金属加工全般の基礎となる技術・技能から、専門的な溶接、鉄工、板金などの幅広い実践的な知識・技能を習得します。 資格取得に関して、鉄工職種の技能検定をはじめ、溶接技能者評価試験の資格取得が可能な知識・技能を習得し、高度化・複数工程に対応できる人材を養成します。
〇電気工事科:電気理論から電気工作物の施工に必要な関係法規、測定試験法、工具などの取り扱い方法を習得します。また、電気工事士の資格を取得するために必要な各種配線工事、設計、積算、自動制御などの知識や技能を習得します。在校中での第二種電気工事士試験及び第一種電気工事士試験の合格を目指します。
〇木工工芸科:家具製作を目的とした木工手工具の使用法、各種木材加工用機械の取扱い及び調整法並びに工作法について、基礎的知識を習得するほか、建具や家具などの仕口、組立、仕上げについての技能を習得します。また、木材の性質、家具の構造、設計を主としたデザイン及び家具製作により、国家試験・技能検定2級(家具及び建具製作)の受検に必要な知識と技能を習得します。
〇ビル管理科:ビルディング等に設置されている空気調和・電気・給排水設備等の運転、建築物の維持管理・環境衛生管理を行うビル管理技術者を養成します。そのため、関連する基礎知識と技能を学び、就労に欠かすことの出来ない関連資格を取得します。
提供しているコース・訓練内容
〇金属加工科:板金・溶接作業を基礎から学びます。資格取得や溶接技能者評価試験を目標に、鋼板やステンレスなどの溶接技術も習得します。最終的には図面を基に鋼板や型鋼を使用した立体物を作成します。自動車板金塗装の基本も習得します。
〇電気工事科:電気工事士の資格取得及び電気理論、関係法規をはじめ、電気工事に必要な各種工具の取扱方法、工事の手法、自動制御技術などを学びます。電気工事士として必要な技能・技術を習得し、現場で活躍できる人材を目指します。
〇木工工芸科:家具の製作に必要な設計、構造、材料、工作法、塗装法などの知識や器工具の取扱い及び木工機械の操作を習得します。習得した知識と技能を基礎に、家具・建具などの木製品を製作します。
〇ビル管理科:オフィスビルや病院、大規模店舗などのビルを管理する仕事に必要な知識習得と関連資格取得のための試験受験対策を行います。また、ボイラーの取扱い、給排水・空調・電気設備の保守、清掃等の実技を通して基礎的な技能を習得します。
使用する教材・機材
〇金属加工科:ARバーチャル溶接訓練システム、デジタルMIG溶接機、NCタレットパンチプレス、炭酸ガスアーク溶接機、アルゴンアーク溶接機、エアープラズマ切断機、交流アーク溶接機、開先加工機、超音波試験機、定盤、両頭グラインダー、パソコン、他
〇電気工事科:実習用高圧受変電設備、太陽光発電システム、継電器試験器、電力計、レーザー墨出し器、ダイヤル型抵抗器、卓上ボール盤、内線用実習電工板、電線接続用工具、パソコン、他
〇木工工芸科:手押かんな盤、自動かんな盤、帯のこ盤、丸鋸盤、角のみ盤、レーザー加工機、卓上ボール盤、両頭研削盤、自動送り装置、小型フライス盤、木工プレス、集塵機、他
〇ビル管理科:蒸気ボイラー、ボイラー給水ポンプ、硬水軟化装置、蒸気ヘッダー、冷却塔、冷却水ポンプ、冷温水発生機、床用ポリッシャー、空気環境測定器、水冷パッケージエアコン、冷凍技術訓練シミュレータ
取得可能な資格
〇金属加工科:ガス溶接技能講習修了証、安全衛生特別教育修了証(アーク溶接、自由研削用といしの取替え、産業用ロボットの教示)、溶接技能者評価試験基本級(下向)(被覆アーク溶接・半自動アーク溶接・ステンレス鋼溶接)、2級技能士学科試験免除(構造物鉄工、工場板金)
〇電気工事科:第一種電気工事士、第二種電気工事士
〇木工工芸科:2級技能士学科試験免除(家具、建具)
〇ビル管理科:安全衛生特別教育修了証(低圧電気取扱)、二級ボイラー技士、危険物取扱者(乙種第4類)、第二種電気工事士、第三種冷凍機械責任者
実習の有無
企業実習の実績は無し(令和7年度)
訓練施設の設備
訓練科が4つあり、それぞれに実習場があります。
4科共用のパソコン室があります。
他の訓練校と比較した強み
金属加工科は、技能習得に力を入れており、基礎から応用までの技能を身に付けることができます。
原則23歳以下の青年技能者たちが、技能レベル日本一を競う技能五輪全国大会が行われています。県予選で選抜された青年技能者が本選となる技能五輪全国大会へと出場しています。この大会は、日本国内の民間企業も参加しており、技能レベルは相当に高いものとなっています。当校の金属加工は、全国大会へ30年以上にわたって選手を輩出しており、過去には銅メダルの成績を修めたこともあります。
教育方針・カリキュラム作成の方針
職業能力開発促進法に基づいたカリキュラムであり基本的な技能の習得を目指しています。
また、社会で活躍できる実践的な人材を育成するためのカリキュラムを組んでいます。
PRポイント
当校は、主に新規学卒者、離転職者の方を対象として、新たな知識、技能を身に付け社会で活躍できる人材を育成しています。
木工工芸科は、県内の高等技術専門校の中では当校のみに設置している訓練科であり、近県でも同様の訓練科は設置されておりますが、概ね30歳以下などの年齢制限があり、当校は年齢不問であることから県外からの入校者もおります。
金属加工科では、技能五輪全国大会(構造物鉄工職種)に挑戦している全国でも数少ない科で、例年全国大会に出場し、民間企業に勤務している技能者と競っています。
受講を検討している人へのメッセージ
川越高等技術専門校は、新たなスキルを身に付け、社会で活躍できる実践的な人材を育成しています。基礎から学べますので未経験からでも大丈夫です。就職活動のサポートもしています。新たな自分を発見してみませんか。
実績
| 過去の受講生の属性 | 令和7年度入校生 金属加工科 入校者5人 平均年齢38.8歳 男性5人女性0人 電気工事科22人 平均年齢29.1歳 男性22人女性0人 木工工芸科30人 平均年齢45.2歳 男性22人女性8人 ビル管理科7月生30人 平均年齢48.9歳 男性29人女性1人 ビル管理科1月生24人 平均年齢52.0歳 男性23人女性1人 |
|---|---|
| 企業との連携の有無 | 当校が企業から直接求人票を受付け、訓練生に職業紹介を行っています。 また、金属加工科、電気工事科、ビル管理科については、校内において地域の商工団体等と連携して、合同企業説明会を開催しています。 |
| 連携している企業・業界 | 金属加工の製造業 電気工事業 木工製品の製造業 ビル管理 |
| 求職者支援の有無 | 県全体で委託している事業者から月に1回程度、キャリアカウンセラーの派遣があり、セミナー等を開催しています。 各訓練科担当の指導員による履歴書添削や面接試験対策を実施しています。 |
| 訓練修了率 | 令和6年度に入校した訓練生の修了率 金属加工科 44.4% 電気工事科 100% 木工工芸科 75.9% ビル管理科7月生 86.6% ビル管理科1月生 92.3% ※修了率が低い科があるが、就職先が決まり修了する前に退校して、中途採用で就職する訓練生がいます。 |
| 受講後の進路 | 令和6年度修了生の就職率 金属加工科 100% 電気工事科 100% 木工工芸科 100% ビル管理科6月修了生 82.6% ビル管理科12月修了生 73.3% |
| 就職・転職成功事例 | 日々の訓練で身に付けた知識、技能、資格を活かして希望する職業に就くことができます。 |
キャンパス
| 所在地 | 〒350-0023 埼玉県川越市並木572-1 |
|---|---|
| 設立年 | 昭和33年 |
| 電話番号 | 049-235-7070 |
| メールアドレス | r357070@pref.saitama.lg.jp |
| 学校HP | https://www.pref.saitama.lg.jp/soshiki/b0806/ |

