新しい道へ進む際、最も気になるのは「本当に現場で通用するスキルが身につくのか」、そして「就職後に自分らしく働き続けられるのか」という不安ではないでしょうか。
千葉県我孫子市にある「千葉県立我孫子テクノスクール」(以下、「ちばテク我孫子校」)は、そんな悩みを持つ方々の力強い味方です。長い歴史を持つ同校は、職業能力開発施設の中でもユニークな造園科の設置や、知的障害を持つ方の就労支援など、地域のニーズに寄り添い続けてきました。
今回は、青野訓練課長と事務実務科の宮島指導員へのインタビューを通じ、技術だけではない「社会人としてのマインド」の重要性や、手厚い支援体制について深掘りします。
現場の厳しさと温かさを知る指導員たちの言葉から、あなたの将来を変えるヒントが見つかるはずです。
創立60周年の歴史。時代に合わせて進化し続ける訓練の原点

半世紀以上にわたり地域の産業を支える人材を輩出し続けてきた、ちばテク我孫子校。単なるスキル習得の場に留まらず、なぜ「就職」を絶対のゴールに掲げ、時代に合わせて姿を変えてきたのでしょうか。その歩みと、今も変わらない教育の原点に迫ります。
私たちが最も大切にしている方針は、一貫して「就職するための職業能力開発施設である」という点です。仕事に就くために必要な知識と技能を習得していただき、最終的に就職へとつなげるための訓練を行う。ここが本校の活動の中心となっています。
現在も普通課程の造園科があるのは、全国でも千葉県と神奈川県だけです。短期課程であれば全国にいくつか存在しますが、本校のように1年かけてじっくり学ぶスタイルは全国的にも非常に稀少だといえます。
全国稀少な1年制の造園科と、特性に寄り添う事務実務科。ニーズを汲み取った独自の教育体制とは

全国でも稀少な、1年かけてじっくり学ぶ「造園科」と、個々の特性を最大限に活かす「事務実務科」。一見異なる2つの学科ですが、そこには共通して「現場で即戦力として輝くための工夫」が凝らされています。未経験からプロを目指せる、同校独自のカリキュラムの秘密を詳しく伺いました。
具体的な教育内容ですが、1年コースでは高校の新規卒業者等を対象としており、技能者が技術を競う全国大会「技能五輪」への参加や、国家資格である「技能士」の検定合格を目指し、高いレベルまで技術を引き上げることを中心に据えています。
一方、6ヶ月コースは主に離転職者を対象としています。こちらも修了時に国家試験の受験資格が得られるレベルを目指しますが、1年コースとの大きな違いは、座学よりも「実習中心」のカリキュラムである点です。
大会のハードルは年々上がっていますが、そうした高いレベルに挑戦できる環境を整えていることが、訓練生の技術向上につながっているのだと感じています。
現在もちばテク我孫子校という一般の訓練施設の中で、知的障害のある方が共に学ぶクラスとして運営しているのが、この事務実務科の大きな特徴です。
ただ、障害のある方は個々の特性が非常に多様です。デスクワークに集中できる方もいれば、ずっと座っていることが大きなストレスになってしまう方もいらっしゃいます。
そこで、訓練全体の約3割は、あえて体を動かす「軽作業」の訓練を取り入れています。
そして、残りの約1割は、就職活動への支援やフォローアップに充てています。障害のある方が安心して社会へ踏み出せるよう、個別の特性に配慮した細やかなサポートを大切にしています。
企業出身のプロが教える「現場で困らない」作法。指示書の視覚化と反復練習で、着実な技術習得を

同校では企業出身の指導員たちが、視覚的な指示書や丁寧な反復練習を通じて、着実に技術を伝承しています。現場のリアルを知るプロだからこそ教えられる、実践的な指導のあり方とはどのようなものでしょうか。
就職先によっては、本校で習ったことの一部しか使わないケースもあるかもしれません。しかし、どのような環境でも柔軟に対応できるよう、かなり幅広い内容の訓練を行っています。
これを可能にしているのが、指導員の経歴です。現在、造園科の職業訓練指導員は、ほぼ全員が民間企業での勤務経験を持っています。現場のリアルを知る指導員が教えるからこそ、実践的なカリキュラムが提供できるのです。
精神保健福祉士との面談から3年間の定着支援まで。未来まで見守り続ける、事務実務科の徹底伴走

新しい環境に飛び込む際、技術面と同じくらい不安なのが「働き続けられるかどうか」というメンタル面ではないでしょうか。ちばテク我孫子校では精神保健福祉士による面談を実施して訓練生のメンタルに対するサポートを行っています。さらに事務実務科は修了後3年間にわたる驚くほど手厚い「伴走支援」を行います。就職をゴールとせず、その先の人生まで支え続けるサポート体制の真髄に迫ります。
精神的なコンディションは、日々の訓練の進捗にも大きく影響します。そのため、明らかな不安を抱えている方だけでなく、全員に一度はお話を伺う機会を設けています。専門家に話を聞いてもらうだけでも、精神的な安定につながる大きな効果があると考えています。
「独立してトラックで母校へ」「挨拶を褒められた」。修了生と企業から寄せられる信頼の証

厳しい訓練を乗り越えた先には、どのような未来が待っているのでしょうか。修了生たちの輝かしい姿と、採用企業から寄せられる絶大な信頼の理由を紐解きます。
また、企業様からも「以前採用した修了生がよく頑張ってくれているから、次もまた紹介してほしい」とリピートをいただくことが多々あります。ハローワークなどの一般紹介に比べて、本校の修了生は定着率が高いと評価されており、面接なしで「ちばテク我孫子校が推薦する人ならぜひ」と言ってくださる企業様もいらっしゃるほどです。
以前、ある修了生が職場の社長や親方から叱られた内容を全て書き出し、A4用紙4枚分もの「怒られ語録」を自発的にまとめて持ってきてくれたことがありました。そうしたリアルな声を後輩たちにも共有し、心の準備をさせた上で送り出していることが、現場での粘り強さにつながっているのかもしれません。
本校には長い歴史がありますから、多くの修了生が業界で活躍しており、中には自ら会社を経営している修了生もたくさんいます。そうした先輩たちがいるからこそ、企業側も本校の教育を認めてくださっていますし、修了生からの率直なフィードバックをいただける環境があるのです。この歴史とネットワークこそが、修了生の定着を支える大きな基盤になっていると感じています。
転職ガイド運営チーム後記
職業訓練とは、教科書通りの知識を学ぶ場所ではありません。ちばテク我孫子校が大切にしているのは、現場で「当たり前」とされる挨拶やマインド、そして予期せぬ困難を乗り越える力です。
もしあなたが今の自分を変えたいと願うなら、歴史に裏打ちされた安心感と、家族のように温かな支援があるこの場所で、新たな一歩を踏み出してみませんか?
その勇気が、確かな技術と自信を手に、あなたらしいキャリアを堂々と切り拓いていく未来へとつながっていくはずです。
千葉県立我孫子テクノスクール(愛称:ちばテク我孫子校)の学校詳細
普通課程造園科の詳細
要項
| 対応職種 | 造園工事業・緑地管理業 |
|---|---|
| 所在地 | 千葉県我孫子市 |
| 定員 | 20名 |
| 訓練期間 | 1年 |
| 訓練時間帯 | 9:15~16:40 |
| 受講形式 | 通学 |
| 開講頻度・募集時期 | 普通課程造園科 4月 ・推薦(9~10月)、A日程10~11月、B日程(12~1月)、C日程(2~3月) |
| 受講費用 | 普通課程造園科 126,650円(入校選考、入校、授業料) ※作業服や教科書代等、別途費用が必要です。(約5万円) |
| 受講生に対する支援 | 授業料の減免(被災、生活保護、生活困窮者) 雇用保険、就職支援制度 通校定期の学割 |
カリキュラム詳細
訓練カリキュラムの概要
現代のニーズに対応した造園技能を身につけ、就業につなげることを目指します。日本庭園の歴史から作庭における伝統的な技術まで幅広く学びます。
学科では、植物学概論、栽培法概論、植物病理学と農薬、設計および製図(CAD)、測量法などを学習します。実習では、造園作業、根掘りや植栽、栽培、設計・製図、農業機械の操作など、実践的なスキルを身につけます。
提供しているコース・訓練内容
普通課程造園科
・植物学、栽培法、植物病理学及び農薬、土及び肥料、農業機械、庭園概論、材料、CAD、造園法、測量法、造園実習、庭園管理実習「現場監督として造園工事に携われる技能者を育成」
取得可能な資格
- 技能士補
- 刈払機取扱作業者安全衛生教育修了証
- 伐木等の業務に係る特別教育修了証
- フルハーネス型墜落制止用器具特別教育修了証
- 小型車両系建設機械特別教育修了証
- 小型移動式クレーン運転技能講習修了証
- 玉掛け技能講習修了証
訓練施設の設備
訓練に対応した実習室、PC(CAD利用)室
他の訓練校と比較した強み
千葉県が設置・運営する職業能力開発校
教育方針・カリキュラム作成の方針
- 就職のための職業訓練の提供
- 離転職者の再就職が確実にできる職業訓練の提供
- 産業界の労働需要に対応したスキルの提供
PRポイント
現場監督として造園工事に携われる技能者を目標に、造園工事に必要な調査・分析・計画・設計・施工管理といった一連の知識と技能を習得します。
受講を検討している人へのメッセージ
就業を目的とした訓練施設です。専門分野で活躍する人材を育成します。
その他特記事項
高等学校卒業見込みの方を対象とした推薦入校有り
実績
| 過去の受講生の属性 | 性別、職歴不問 |
|---|---|
| 企業との連携の有無 | 有り(求人紹介)、ハローワーク連携 |
| 連携している企業・業界 | 造園工事業・緑地管理業 |
| 求職者支援の有無 | 有り(就職支援講座) |
| 訓練修了率 | 94.9%(令和6年度実績) |
| 受講後の進路 | 就職89.2%(令和6年度実績) |
短期課程造園科の詳細
要項
| 対応職種 | 造園工事業・緑地管理業 |
|---|---|
| 所在地 | 千葉県我孫子市 |
| 定員 | 短期課程造園科 1期10名 (1年40名) |
| 訓練期間 | 6ヶ月 |
| 訓練時間帯 | 9:15~16:40 |
| 受講形式 | 通学 |
| 開講頻度・募集時期 | 短期課程造園科 年4回 4月生(1~3月)、7月生(4~6月)、10月生(7~9月)、1月生(10~12月) |
| 受講費用 | 無料(作業服・教科書代等、約35,000円の費用が必要です) |
| 受講生に対する支援 | 雇用保険、就職支援制度 |
カリキュラム詳細
訓練カリキュラムの概要
短期間で造園業への就職を目指し、造園・庭園管理・植栽に関する内容を約900時間学びます。そのうち9割は実習を中心に行い、実践的な技術や知識を身につけることができます。
提供しているコース・訓練内容
短期課程造園科
・造園法、植物学概論、栽培法概論、測量法、農業機械、造園実習、庭園管理実習、栽培基本実習、製図実習、農業機械操作実習
取得可能な資格
- 刈払機取扱作業者安全衛生教育修了証
- 伐木等の業務に係る特別教育修了証
訓練施設の設備
造園実習場、PC(CAD利用)室
他の訓練校と比較した強み
千葉県が設置・運営する職業能力開発校
教育方針・カリキュラム作成の方針
- 就職のための職業訓練の提供
- 離転職者の再就職が確実にできる職業訓練の提供
- 産業界の労働需要に対応したスキルの提供
PRポイント
主に離転職者の方を対象に、短期間で即戦力の造園技能者として活躍できるよう、実学一体の実践的カリキュラムを組んでいます。様々な年代の方が入校し、多くの修了生が即戦力として、造園業界で活躍しています。
受講を検討している人へのメッセージ
就業を目的とした訓練施設です。専門分野で活躍する人材を育成します。
実績
| 過去の受講生の属性 | 性別、職歴不問 |
|---|---|
| 企業との連携の有無 | 有り(求人紹介)、ハローワーク連携 |
| 連携している企業・業界 | 造園工事業・緑地管理業 |
| 求職者支援の有無 | 有り(就職支援講座) |
| 訓練修了率 | 100%(令和6年度実績) |
| 受講後の進路 | 就職86.8%(令和6年度実績) |
短期課程事務実務科の学校詳細
要項
| 対応職種 | 障害者雇用促進法に基づく就職 |
|---|---|
| 所在地 | 千葉県我孫子市 |
| 定員 | 10名 |
| 訓練期間 | 1年間 |
| 訓練時間帯 | 9:15~16:40 |
| 受講形式 | 通学 |
| 開講頻度・募集時期 | 事務実務科4月・一期(9~10月)、二期(11~1月)、三期(1~2月) ※定員になり次第募集終了 |
| 受講費用 | 無料(作業服や教科書代等、別途費用が必要です。) |
| 受講生に対する支援 | 訓練手当 |
カリキュラム詳細
訓練カリキュラムの概要
勤怠の安定やコミュニケーションスキルの習得をはじめ、事務業務・パソコン業務・清掃や会場設営などの基本作業、販売物流業務など、さまざまな業務を幅広く経験します。これにより、自分の特性に合った職種を見つけ、長く安定して就業できる力を身につけることを目指したカリキュラムとなっています。
提供しているコース・訓練内容
事務実務科(知的障がい者コース)
・就職基礎知識、安全衛生、PC操作実習、事務処理実習、販売及び物流実習、基本作業実習、コミュニケーション実習、総合実習
使用する教材・機材
Windows11ノートパソコン、MicrosoftOfficeアプリケーション
電卓などの事務用品
取得可能な資格
- 日本語ワープロ検定(2~4級)
- 表計算技能検定(2~4級)
- プレゼンテーション検定(3、4級)
- ホームページ作成検定(3、4級)
訓練施設の設備
- 事務系教室(PC、コピー機、シュレッダーなど)
- 多目的実習室(包装、ピッキング、軽作業など)
- 倉庫実習棟(運搬、清掃など)
他の訓練校と比較した強み
千葉県が設置・運営する職業能力開発校
教育方針・カリキュラム作成の方針
- 就職のための職業訓練の提供
- 離転職者の再就職が確実にできる職業訓練の提供
- 産業界の労働需要に対応したスキルの提供
PRポイント
事務から倉庫内作業まで様々な訓練で、自分に合った職業選択を支援します。
受講を検討している人へのメッセージ
就業を目的とした訓練施設です。専門分野で活躍する人材を育成します。
実績
| 過去の受講生の属性 | 性別、職歴不問 |
|---|---|
| 企業との連携の有無 | 有り(求人紹介、企業説明会への参加)、ハローワーク連携 |
| 求職者支援の有無 | 有り(就職基礎知識) |
| 訓練修了率 | 66.7% ※就業目的の訓練科であるため、退校者は就職によるもの(令和6年度実績) |
| 受講後の進路 | 就労100%(令和6年度実績) |
キャンパス(普通課程造園科・短期課程造園科・短期課程事務実務科共通)
| 所在地 | 〒270-1163 千葉県我孫子市久寺家682-1 |
|---|---|
| 設立年 | 1965年4月 |
| 電話番号 | 04-7184-6411 |
| メールアドレス | abiteku05@mz.pref.chiba.lg.jp |
| 学校HP | https://www.pref.chiba.lg.jp/kg-abiko/index.html |

