「今の仕事のままで将来は大丈夫だろうか」
「未経験から新しい分野に挑戦したいけれど、自分にできるだろうか」
そんな不安を抱えながらキャリアの転換点に立つ方は少なくありません。現場で活躍し、周囲から信頼される人材になるためには何が必要なのでしょうか。
「千葉県立市原テクノスクール(愛称:ちばテク市原校)」は、そんな悩みを持つ方々に対し、技術習得以上の価値を提供している場所です。
本記事では、副校長の古賀 英寿さんへのインタビューを通じて、職業訓練の真の目的や、未経験者が直面する壁をどう乗り越えるか、そして訓練を通じて訓練生たちがどのように劇的な変化を遂げていくのかを詳しく紐解きます。
技術習得のその先へ。後輩を指導できる「一流の社会人」の育成

職業訓練校と聞くと、まず頭に浮かぶのは「専門技術の習得」かもしれません。しかし、ちばテク市原校が掲げる真の目的は、スキルの伝達にとどまらない、社会人としての「自立」と「継承」にあります。
貴校では、どのような思いで職業訓練を行われているかお聞かせいただけますか。
当校は職業訓練を行う場所ですので、技術や技能を習得していただくのはもちろんのことです。しかし、その前にまず「1人の社会人として立派に行動できるようになること」を身につけてもらいたいと考えています。
技術の習得だけでなく、人間性や社会人としての基本を重視されているのですね。その先にある「就職後の姿」としては、どのような成長を期待されているのでしょうか。
就職して数年経つと後輩が入ってきます。そのときに、自分が教えてもらったことを次の世代へきちんと指導できるようになってほしいですね。そして、市原テクノスクールの後輩が入ってきたら、特に気にかけてもらえたら嬉しいです。そのような思いを込めて、日々の訓練を行っています。
最近は「手に職をつけたい」「学び直したい」という声も増えていると思います。入校される方には、どのような背景や悩みを持つ方が多いでしょうか。
そのような思いをお持ちなのは、社会人経験者の方が多い印象です。
「今持っている技術にプラスアルファの強みを身につけ、より良い条件で就職したい」と、現在の状況からキャリアアップしたいと考えている方や、「これまでの職業ではこれ以上の収入アップが見込めない」という悩みを抱え、職種変更(ジョブチェンジ)を目指す方もいます。
現状を打破して、より良い未来のために学び直す方が多いのですね。
私は電気分野を担当しているため、電気関連の道へ進まれる方をサポートする機会が多いのですが、他の訓練科でも同様の悩みや目標を持つ方がたくさんいらっしゃいます。
未経験者の壁は「生活習慣」と「技能習得」。“目的のない訓練生”が、自立したプロへ成長を遂げるまで

未経験から未知の領域へ挑む際、多くの人がまず直面するのは、日々の生活リズムの再構築や、技術習得に対する切実な不安、つまり挫折の種となる現実的な壁です。しかし同校には、かつては目的がなく挫折寸前だった訓練生が、自立したプロへと変貌を遂げたエピソードがあります。
未経験から技術職を目指す方にとって、最初にぶつかりやすい壁にはどのようなものがありますか。
入校してから修了までの間にぶつかる壁としては、大きく2つあると考えています。
1つ目は、特に若い方に多いのですが、学生時代の生活習慣からなかなか抜け出せないという点です。まずは「毎日休まずに登校し、規則正しい生活を送る」という、社会人としての基本を身につけられるかどうかが最初のハードルになります。
2つ目は、日々の訓練の中で「技能や技術をきちんと身につけられるか」という不安です。テストなどの成績が思うように振るわないと、本人たちも悩んでしまい、モチベーションが下がってしまうことがあります。
これまでの訓練生の方の中で、「最初は挫折しそうだった方が壁を乗り越えられた」といった印象的なエピソードはありますか。
入校当初はこれといった目的がなく、授業にも身が入らない様子で、どちらかといえば手のかかる訓練生がいました。しかし、ある時を境に驚くほど姿勢が変わり、それからは遅刻や欠席も一切なくなりました。
修了後は、どのような道に進まれたのでしょうか。
そのまま無事に就職しました。数年後に当校へ顔を出してくれたとき、その受け答えが本当にしっかりとしていて驚かされました。
訓練初期から修了にかけて、また、就職後にもさらなる成長をされたのですね。
その修了生の就職先は「もし今より良い条件の会社があるなら、そちらへ移ってもいいよ」というキャリアアップの転職に寛大な方針を持っていました。そのため、彼は実際に一度他の会社に転職して経験を積んだそうです。しかし、最終的には「やはりここが良い」と、最初に就職した会社に戻っていきました。
目的のなかった彼が、自分の意志でキャリアを選択し、古巣の会社からも必要とされている。その姿を見たときは、本当に大きな成長を遂げてくれたのだと一番強く実感しました。
現場での孤立を防ぐ「コミュニケーション能力」の磨き方

無事に就職を決めた後も、現場では訓練校で学んだこと以外の多様な業務や、新しい人間関係といった未知の試練が待ち受けています。同校では、技術的な指導にとどまらず、修了生が職場で円滑な関係を築き、活躍し続けるための「対人スキル」の育成にも力を注いでいます。
訓練期間を終えて、実際に就職した後にぶつかる壁にはどのようなものがありますか。
就職した後の壁としては、当校で学んだこと以外の新しい仕事をたくさんこなさなければならない、という点です。当校の訓練期間内で教えられることには限りがありますので、現場に出てからの多種多様な業務に対応するのは大変だと思います。
ただ、これについては日々の仕事の中で一つずつ覚えていったり、色々と試してみたりするしかありません。時には失敗することもありますが、その失敗こそが貴重な経験になります。毎日の積み重ねのなかで乗り越えていってほしいです。
就職先で挫折してしまう方もいらっしゃるのでしょうか。
実際に働き始めた後で挫折してしまうケースは、大きく分けて2つのパターンが考えられます。1つは、技術的な面で周囲に追いつけず焦りを感じてしまうパターン。もう1つは、人間関係や、お客様との関わりの中で精神的に疲弊してしまうパターンです。
特に周囲との人間関係は、あらゆる場面において大切なことだと感じます。そうした就職後の人間関係の壁を乗り越えるために、訓練期間中に取り組まれている対策などはありますか。
当校では、コミュニケーション能力を伸ばす目的で、「人材力向上」をテーマにした講習を行っています。
講習は、どのような内容になっているのでしょうか。
実践的で基本的なコミュニケーションの訓練を実施しています。例えば「自分から進んで声をかける」「相手の言っていることを正確に聞く」といった、基礎的なところから学びます。その成果もあってか、日ごろからどのクラスもみんな仲良く訓練に励んでいます。
一人ひとりの「なぜ?」に寄り添う、訓練生視点の徹底した指導法

同じ訓練期間であっても、目覚ましい成果を出す人には共通する「学びの姿勢」があります。訓練生一人ひとりの理解度に合わせて指導法を柔軟に変化させる、指導員たちの熱意あふれるこだわりを紐解きます。
資格取得に向けた学習で、成果の出やすい人にはどのような共通点がありますでしょうか。
成果が出やすい方の共通点として、まずは出された課題に対して前向きに取り組めることが挙げられます。与えられた課題を受け身でこなすのではなく、「自分からどんどん積極的に進めていこう」という姿勢がある方です。
わからないことがあればきちんと質問をして、課題が終われば「次はこれをやってもいいですか」と自ら進んで取り組むような方は、やはり成果が出やすいですね。
授業以外での時間の使い方も、結果に影響してくるのでしょうか。
もちろん、自主学習への向き合い方も重要です。例えば、自宅に帰ってからきちんと復習の時間を取れる方は伸びます。ただ、自宅での勉強は難しいという環境の方もいますので、そうした場合は訓練中の時間を利用します。
自宅で集中できない場合のサポートとして、具体的にはどのような選択肢があるのですか。
当校では放課後などに補習を行うこともあります。そうした場にきちんと参加できるかどうかが分かれ道です。たとえ勉強が苦手であっても、補習などの機会に進んで参加する方のほうが、最終的には良い結果を出していると感じます。
意思を持って自ら動くことが大切なのですね。では、指導員の方々が、指導する際に大切にされていることについてお聞かせください。
指導する上で一番大切にしているのは、「どのように教えれば、その人が本当に理解してくれるか」を突き詰めることです。これは私の個人的なこだわりでもありますが、いくら教科書通りに「ここにこう書いてあるから覚えてください」と説明しても、それではなかなか身につきません。
特に私が指導を始めたばかりの頃に意識したのは、「自分が教わる立場だったら、どのように説明してもらえたら一番納得して理解できただろうか」という視点でした。
ご自身の経験や訓練生側の目線をベースに、指導法をアップデートされてきたのですね。ご自身の視点以外にも、何か意識されているアプローチはありますか。
同じ訓練科の指導員はもちろん、他の訓練科の指導員の方々の教え方も参考にしています。分かりやすい説明のコツや良い指導法があれば、とにかく貪欲に取り入れて、日々の指導に活かすように心がけています。
積み上げた訓練を「自信」に。就職先で大きく飛躍する修了生たちの姿
「自分は不器用だから、技術職は向いていない」と思い込んでしまってはいませんか。実は、毎日の小さな積み重ねが確かな自信へと変わり、修了する頃には力強い言葉で未来を語るようになるドラマが、この訓練校では日々生まれています。
入校当初は自信がなかったり、悩みを抱えていたりした訓練生が、修了までに大きく成長したと感じるエピソードなどがあればお伺いしたいです。
特定の一人の話ではないのですが、入校当初は座学が苦手だったり、実技作業で周囲より遅れてしまったりする訓練生がいます。しかし、日々の訓練を続けていくうちに、今までできなかったことができるようになっていきます。
特に実技の作業は、習得のスピードに個人差があるため、一定のレベルに到達するまで少し時間がかかるケースもあります。それでも、毎日の積み重ねで周囲との差がだんだん縮まっていくと、本人たちも目に見えて自信がついていくのが分かります。そうなると、行動もどんどん良い方向へと変わっていくのです。
自信をつけた訓練生の皆さんは、どのような姿で修了を迎えられるのでしょうか。
最終的に修了して就職していくときには、「勉強が苦手だから」「不器用で作業が遅いから」といった不安や後ろ向きな発言ではなく、「就職先でも頑張っていきます!」と、力強く自信に満ちた言葉を残して旅立ってくれます。その姿を見送るときは、大きく成長したなと実感します。
訓練生がそのように成長する姿を見られる瞬間は、指導員の方々にとっても喜ばしいことなのではないでしょうか。
訓練生たちを見守り、導いていくプロセスには大変なこともありますが、見違えるほど立派に成長した姿を見せてくれたときは、本当にこの仕事をやっていて良かったと心から感じます。
そのような成長につなげるためには、先ほどおっしゃっていた「どうすれば相手に理解してもらえるか」を追求する手厚い支援が重要になってくるのですね。
本人が理解できるように粘り強く説明し、その上で実際に体を動かして作業に取り組んでもらいます。実技は繰り返し練習して感覚を養う面もありますが、一度コツさえ掴んでしまえば、作業スピードは自然と上がっていきます。
また、指導員としては、普段の作業の中で「この作業のこの部分は綺麗に仕上げられる」というような、本人だけの小さな強みやこだわりを見つけてあげることも大切にしています。部分的にでも「ここなら負けない」という強みを見つけることができれば、それが大きな自信へとつながっていくはずです。
お話を伺っていると、指導員として訓練生に寄り添い続けることの大切さと、その重みをひしひしと感じます。
自信をつけて変わっていく訓練生たちの姿を見ていると、こちらもパワーをもらえます。「また次も頑張ろう」という、原動力にもなっていると感じます。
転職ガイド運営チーム後記
千葉県立市原テクノスクールでの日々は、自分自身の生活習慣を見直し、仲間とのコミュニケーションを学び、そして「自分にもできる」という確かな自信を育むプロセスそのものです。たとえ今は自信がなくても、自ら積極的に学ぶ姿勢さえあれば、専門的な技術は着実に身につくはずです。新しい一歩を踏み出す勇気が、数年後のあなたを「教える立場」の立派な職業人へと変えてくれるでしょう。
千葉県立市原テクノスクールの学校詳細
要項
| 対応職種 | 電気工事、自動車ディーラー、自動車整備、金属建築自動車塗装、ビル設備管理・非破壊検査 |
|---|---|
| 所在地 | 千葉県市原市 |
| 定員 | コースにより異なる(10~30人) |
| 訓練期間 | 6か月(ビルメンテナンス科・非破壊検査科)・1年(電気工事科・塗装科)・2年(自動車整備科) |
| 訓練時間帯 | 8時50分~16時25分(休憩時間あり) |
| 受講形式 | 主に通学・一部オンライン |
| 開講頻度・募集時期 | 通期訓練・4月開講(一部7月、10月、1月開講) |
| 受講費用 | ビルメンテナンス科(訓練期間6か月)約6万円~自動車整備科(訓練期間2年)約34万円※授業料、教科書、実習服代等含む |
| 受講生に対する支援 | 雇用保険受給者は残日数に応じて職業安定所の指示により給付延長あり・授業料減免制度(条件あり)・通学定期学割(コースによる)・技能者育成資金融資制度(条件あり) |
カリキュラム詳細
訓練カリキュラムの概要
理論、法規等の専門知識の習得及び実技実習により実践的な技能を習得
提供しているコース・訓練内容
電気工事科・自動車整備科・塗装科・ビルメンテナンス科・非破壊検査科
使用する教材・機材
各コースとも充実した教材・機材を使用
取得可能な資格
電気工事士・自動車整備士・各種塗装技能士・各種設備管理者・非破壊試験技術者 など
実習の有無
有(一部のコース)
訓練施設の設備
計測器、設備、機械等各種充実。令和5年新総合実習棟新築
他の訓練校と比較した強み
無料又は低額な授業料で、就職に直結する専門知識や技能・技術を身に付けられる
教育方針・カリキュラム作成の方針
職業能力開発促進法に基づき産業社会の実情に即した効果的な職業訓練を行います
PRポイント
訓練の5割以上が実習!就職後は同期よりもリードできます
受講を検討している人へのメッセージ
「やりたい」を「できる」に!あなたのチャレンジを待っています!
その他特記事項
創立60年以上、歴史に裏打ちされた実績。授業料は無料又は低額です。
実績
| 過去の受講生の属性 | 10代~60代 女性6% |
|---|---|
| 企業との連携の有無 | 有 求人紹介・企業説明会への参加多数 |
| 連携している企業・業界 | 各種関連分野の企業様 |
| 求職者支援の有無 | 有 就職支援セミナー・キャリアカウンセリング・履歴書添削・面接対策など |
| 訓練修了率 | 約80% |
| 受講後の進路 | 主に各訓練コース関連企業へ就職 就職率80%(令和6年度修了生) |
| 就職・転職成功事例 | ちばテクHPをご覧ください |
キャンパス
| 所在地 | 〒290-0053 千葉県市原市平田981-7 |
|---|---|
| 設立年 | 昭和34年 |
| 電話番号 | 0436-22-0403 |
| メールアドレス | 下記リンク先の「メールでお問い合わせ」より |
| 学校HP | https://www.pref.chiba.lg.jp/kg-ichihara/ |

