近年、国もキャリア形成やリスキリング(学びなおし)を推進しており、多くの人が知識・技術の習得に取り組むようになりました。
それに伴い、国の支援を受けられる“職業訓練”も注目されています。
例えば、厚生労働省の「ハロートレーニングQ&A」によれば、職業訓練を利用している人は年間約27万人とのこと。
この数字を見ても、職業訓練が多くの人に利用されていることがわかります。
しかし、職業訓練に通おうと考えている人は注意が必要です。
▼注意ポイント
- 働きながら職業訓練に通うにはいくつかの条件を満たす必要がある。
- 働きながらもらえる給付金の金額・時期は制度の種類によって大きく異なる。

本記事では、多くの人が誤解しているポイントと正社員が働きながら利用できる制度の種類、制度の活用方法などを解説していきます。

この記事を読み終える頃には、“正社員として働きながらでも職業訓練に通えるのかどうか”が分かるはずです。
また、仕事と職業訓練を両立するためのポイントも紹介するので、「職業訓練に興味はあるけど両立できる自信がない」という人も必見です。
ではさっそく、詳細を見ていきましょう。
【診断で判定】正社員が働きながら受けられる職業訓練とは?
「職業訓練」と一口にいっても、職業訓練は「公共職業訓練」と「求職者支援訓練」の2つの枠組みに分かれています。
そして、どちらの制度を利用するかは“雇用保険受給者”かどうかで決まります。
そこでまずは、自分が雇用保険受給者かどうかを下記のチェックリストで確認しましょう。
| 在職中の人のチェックリスト | 失業中の人のチェックリスト |
|---|---|
| ・正社員として在籍中 例)雇用契約がある。 ・雇用保険に加入している 例)給与明細に雇用保険控除がある。 | ・受給資格者証・雇用保険被保険者証を持っている ・失業給付(基本手当)を「受給中」または「待機・給付制限の途中」 |
上記のチェックリストに1つでも該当した人は「雇用保険受給者」です。
つまり、職業訓練を利用する場合、「公共職業訓練」内の訓練を利用することになります。
対象者
・雇用保険受給者・失業保険受給者
※失業保険を受給している失業者も含む
必要な意思
・働くためにキャリアアップしたい
・働きながらキャリアアップしたい
メリット
・原則受講料無料
(テキスト代等は別)
受講場所
・ポリテクセンター
・ポリテクカレッジ
・障害者職業能力開発校
・職業能力開発校
・障害者職業能力開発校
・民間教育訓練機関など
給付要件
・選考時に就職に必要な学びと判断される必要がある
参照:厚生労働省|ハロートレーニングQ&A、厚生労働省|求職者支援制度
上記の表を見てもわかるように、正社員として働いている場合は、「求職者支援訓練」の要件を満たせません。
つまり正社員が働きながら受けられる職業訓練は「公共職業訓練」の中の「在職者訓練」を利用することになります。
Q、在職者訓練とは?
主に中小企業に勤める方々を対象に、従事されている業務に必要な専門知識及び技能・技術の向上を図るための比較的短期間のハロートレーニングです。
また、職業訓練とは制度が異なりますが、正社員として働きながら知識及び技能・技術の向上を図るなら「教育訓練」という制度を利用するのもおすすめです。
制度の詳細についてはのちほど解説しますが、まずは自分が「職業訓練(在職者訓練)」「教育訓練」どちらに向いているかを判断することが大切です。
さっそく、直感で下記の9つの質問に答えて、どちらの制度に向いているか診断してみましょう。
| YESなら | NOなら | |
|---|---|---|
| Q1. 会社に知られず進めたい | 教育訓練寄り | 在職者訓練も検討 |
| Q2. 平日夜・土日(オンライン含む)で学びたい | 教育訓練寄り | 在職者訓練も現実的 |
| Q3. 受講料をいったん立て替えられる | 教育訓練寄り | 在職者訓練寄り |
| Q4. 雇用保険に加入している | 教育訓練寄り | 在職者訓練中心 |
| Q5. 雇用保険の加入期間が一定以上ある | 教育訓練寄り | 要件確認が必要 |
| Q6. 学びたいのは民間講座に多い分野 | 教育訓練寄り | 公的訓練も有力 |
| Q7. 近くにポリテクセンター等があり通える | 在職者訓練寄り | 教育訓練寄り |
| Q8. とにかく自己負担を抑えたい | 在職者訓練寄り | 教育訓練でもOK |
| Q9. 3か月以上の学習を継続できる見込みがある | どちらもOK | 短期コース優先 |
いかがでしたか?
在職者訓練と教育訓練の制度はお得に学べることは共通していますが、制度の位置づけや条件、給付の内容などが大きく異なります。
制度を利用・検討するならば、2つの制度は異なるものとまずは理解することが大切です。
正社員は「求職者訓練」の月10万円給付は受けられない
くり返しになりますが、正社員で働きながら受けられる公共職業訓練は「在職者訓練」です。
そのため、正社員は「求職者支援訓練」の手当(月10万円)を受給できません。
誤解しやすいポイントなので、改めて2つの訓練の違いを表で確認しましょう。
対象者
・雇用保険受給者・失業保険受給者
※失業保険を受給している失業者も含む
必要な意思
・働くためにキャリアアップしたい
・働きながらキャリアアップしたい
メリット
・原則受講料無料
(テキスト代等は別)
受講場所
・ポリテクセンター
・ポリテクカレッジ
・障害者職業能力開発校
・職業能力開発校
・障害者職業能力開発校
・民間教育訓練機関など
給付要件
・選考時に就職に必要な学びと判断される必要がある
参照:厚生労働省|ハロートレーニングQ&A、厚生労働省|求職者支援制度
月10万円給付されるのは「職業訓練受講給付金」ですが、求職者支援制度の公式サイトには“雇用保険被保険者や雇用保険受給資格者でないこと”が要件として明記されています。
正社員の多くは雇用保険に加入しているため、在職のまま給付を受けるのは難しくなります。
さらに制度のリーフレットには、週20時間以上働く在職者は特定求職者に原則該当しない旨が記されています。
- 月10万円給付は職業訓練受講給付金なので、雇用保険受給者は原則非該当。
- 週20時間以上の在職者は原則非該当なので、正社員が月10万円受給するのは難しい。
つまり「正社員のまま申請」した場合、制度の申し込み段階でストップしてしまうケースがほとんどです。
異業種からスキル習得を狙うなら給付金対象の民間講座もおすすめ
「求職者支援訓練は対象外か。それなら在職者向けの公的訓練を受けよう!」と考えたのに、受講できる講座が少ない場合は、給付金対象の民間講座も有力候補になります。
というのも、専門職の講座は同業者を要件とするケースが多いので、選べる講座がそもそもないということがあるでしょう。
こうなる原因は、制度の性質にあります。
まずは下記の表を参考にして、在職者訓練(ハロートレーニング)と教育訓練の違いを確認しましょう。
位置づけ
公的な職業訓練
対象者
「在職者」向け
受講目的
・現在の仕事に直結する業務スキルアップ
・生産性の向上
eラーニングの有無
講座による
土日・夜間の開講
講座による
講座の選び方
地域の実施機関(ポリテクセンター等/委託先)で募集される講座から選ぶ。
費用
原則有料だが費用が安く短期間
受付窓口
実施機関へ申込み
期間・形態の目安
比較的短期間
会社バレの可能性
生産性向上支援訓練の場合会社の関与が必要
※能力開発セミナーなどは個人で申込できるケースあり
参照:厚生労働省|ハロートレーニング、厚生労働省|教育訓練給付金
在職者向けの職業訓練は“現在の仕事に直結する業務のスキルアップ”として組まれているため、異業種を受け入れるケースは比較的まれといえるでしょう。
一方、教育訓練給付金は民間の講座も含まれるため、選択肢が広がります。
ただし、教育訓練給付金は原則講座修了後に費用の一部が戻る仕組みなので、スタートコストが膨らみやすいデメリットもあります。
- 教育訓練給付金の対象講座は「厚生労働大臣が指定する講座」
- 支給は原則「修了後」。それまでの費用は受講者が負担しなければいけない。
まずは対象講座一覧や受講要件を確認しておくと安心です。
また、教育訓練給付金の受付窓口はハローワークなので、不安や疑問がある場合はハローワークに相談してみるといいでしょう。
>>【雇用保険の給付によって学べる「教育訓練」とは?】を先にチェックする!
受講料5,000円未満の講座も!公共職業訓練(ハロートレーニング)の在職者訓練とは?
公共職業訓練の在職者訓練は、土日や夜間に組まれている訓練も多いので、仕事をしながら通いやすいのが特徴です。
特に生産性向上支援訓練という訓練は、IT業務改善は2,200〜4,400円(税込)、その他3,300〜6,600円(税込)と、始めやすい価格設定になっているのも魅力的なポイントです。
ここでは、在職者訓練の3つの特徴と注意したい1つのポイントを紹介していきます。
在職者訓練(ハロートレーニング)の基本情報
| 名称 | 在職者訓練(ハロートレーニング) |
|---|---|
| 位置づけ | 公的な職業訓練 |
| 対象者 | 「在職者」向け |
| 受講目的 | ・現在の仕事に直結する業務スキルアップ ・生産性の向上 |
| eラーニングの有無 | 講座による |
| 土日・夜間の開講 | 講座による |
| 講座の選び方 | 地域の実施機関(ポリテクセンター等/委託先)で募集される講座から選ぶ。 |
| 費用 | 原則有料だが費用が安く短期間 |
| 受付窓口 | 実施機関へ申込み |
| 期間・形態の目安 | 比較的短期間 |
| 会社バレの可能性 | 生産性向上支援訓練の場合会社の関与が必要 ※能力開発セミナーなどは個人で申込できるケースあり |
短期間履修や夜間受講が可能!働きながら通えるスケジュールが魅力
在職者訓練(能力開発セミナー)は、コースにより違いはあるものの、2〜5日間ほどの短い日程で組まれています。
また、平日日中だけでなく、土曜・日曜や夜間など、受講時間帯が広く用意されているため、働きながらでも通いやすいのが特徴です。
例えば、終業が伸びやすい人は休日中心の土日講座を軸に。
逆に平日休みのシフト制なら、夜間コースが受講しやすいでしょう。
また、職業訓練校やポリテクセンター等で通学する場合は募集期間や受講開始日が最初に決まっているので、「今月は無理でも、次の開講時期なら行けるかも」と見通しが立ちやすいのがメリットです。
- 2〜5日間など短い日程のコースがある。
- 平日昼間に加え、土日や夜間の設定もある。
- 終業時間が読みにくい人でも予定を組みやすい講座がある。
- 開講時期、募集期間、費用は実施機関に確認する。
最寄りの施設情報を一度眺めて、「通える時間帯があるか」と確認するだけでも、スキルアップの第一歩になるでしょう。
通学不要の訓練あり!オンライン・通信制(eラーニング)も選択できる
在職者訓練にはeラーニングで進められるものもあるので、仕事終わりに移動して教室へ…という負担を減らすことができます。
例えば、サブスクリプション型生産性向上支援訓練は訓練開始日から2か月間、動画を何度でも視聴できるので、マイペースに何度も学ぶことが可能です。
受講料も訓練コース1つにつき1人あたり920円(税込)と非常に安く、負担のない価格設定も大きなメリットといえるでしょう。
しかし、生産性向上支援訓練は申込みが事業主経由なので、まずは社内で「研修として使えるeラーニングがあるかどうか」を確認することが大切です。
- 通学が難しい人でも取り組みやすい。
- 2か月間くり返し視聴できるので、短時間で区切りながら学んでもOK。
- 費用が安価なので、社内研修にも最適。
忙しい週でも“ゼロにしない”進め方ができれば、学びが止まりにくくなります。
生産性向上支援訓練のような講座は、働きながら学ぶのに最適な講座といえるでしょう。
現職に関わるスキルアップができるので収入UPに直結しやすい!

在職者訓練は、担当業務に近いテーマで学べるため、学んだ翌日から仕事に活かすことができます。
厚生労働省のハロートレーニング(在職者訓練)公式サイトによれば、在職者訓練は「従事されている業務に必要な専門知識及び技能・技術の向上を図るための訓練」とのこと。
業務に必要な知識・技能を高められるので、評価につながりやすいと考えられます。
- 評価につなげるには「学び」ではなく「変化」を示す。
- 数字(勤務時間の短縮・売り上げなど)で説明できる状態にする。
- 面談では資料を添えて、条件と希望を具体的に伝える。
とはいっても、昇給の可否やタイミングは会社の評価制度により異なります。
受講するだけで自動的に評価が上がるとは限らないため、成果の記録と共有を前提に進めることが大切です。
【注意】会社経由の申込みが必要なコースあり!会社バレ回避法は?
何らかの理由があり、「訓練は受けたいけれど、会社にはバレたくない」と不安に感じている人も中にはいるでしょう。
しかし、会社にバレるかバレないかは訓練によって違うというのが結論です。
例えば、生産性向上支援訓練は「事業主からの指示を受けた従業員」が対象とされており、申込書に事業所名や担当者を書く場面が出てきます。
そのため、“生産性向上支援訓練の受講=会社の関与が必須”ということになります。
また、本来は会社バレがしにくい訓練であっても、連絡先を職場にしていれば、通知や日程調整が届くことになるので、結果的に会社にバレてしまうことになります。
さらに教育訓練休暇給付金を使うなら、申請書は事業主経由で交付されます。
また、賃金月額証明書を提出する場合も事業主がハローワークへ提出するため、会社の関与が絶対条件になります。
このように、全ての訓練が会社バレするというわけではないものの、秘密優先で動くなら会社にバレないように気をつける必要があります。
- 申込み主体が「事業主」になっていないか
- 会社の承認、会社印、担当者記入が要るか
- 会社宛の郵送物や連絡が発生しないか
もしひとつでも該当するなら、会社の関与が原則不要な「教育訓練」を候補に加えるのがおすすめです。
「教育訓練」については次の章で詳しく紹介しますので、ぜひそちらも参考にしてくださいね。
雇用保険の給付によって学べる「教育訓練」とは?

在職者訓練に受けたい講座がなかったときや会社の関与不要で学びたいときに候補になるのが教育訓練給付制度です。
教育訓練給付制度は職業訓練とは異なる制度ですが、国が指定した講座を受けて修了すると、受講費用の一部が雇用保険から支給されるお得な制度となっています。
通学だけでなく夜間・土日・オンライン対応の講座もあり、仕事と両立しやすいのが特徴です。
しかし一方で、対象講座や加入期間など、細かな支給要件があるので、事前確認が欠かせない不便さもあります。
ここでは、教育訓練の基本と、一般・特定一般・専門実践の違いをひとつずつわかりやすく整理していきます。
目的
・中長期のキャリア形成
給付の目安(上限)
教育訓練経費の50%
(年間上限40万円)
支給タイミング
受講中に6か月ごと
(分割支給が基本)
追加支給のイメージ
・資格取得や就職などで+20%(年間上限16万円)
・さらに令和6年10月1日以降に受講開始で、賃金が受講開始前より5%以上上昇した場合に+10%(年間上限8万円)
参照:厚生労働省|教育訓練給付金、ハローワーク| 教育訓練給付金
受講料の最大80%が戻る!「専門実践教育訓練給付金」の仕組みと対象者

専門実践教育訓練給付金は、厚労大臣指定の講座で、受講中に教育訓練経費の50%(年上限40万円)を6か月ごとに支給する制度です。
さらに、訓練修了後資格取得(学位含む)などの条件を満たし、原則1年以内に就職・在職していれば20%(年上限16万円)を追加支給。
令和6年10月1日以降開始なら賃金5%以上の上昇で10%(年上限8万円)も加算されるため、最大80%が戻る仕組みになっています。
ただし、一括で戻るわけではなく、領収書や受講証明書をそろえて支給単位ごとに申請しなければいけません。
そのため、初期費用は自分で準備する必要があります。
【注意】受給要件確認と1か月前までのジョブ・カード作成を忘れずに!
「教育訓練給付金」は、原則雇用保険の被保険者期間が3年以上ない人は対象になりません。
そのため、受講を決める前にハローワークで支給要件照会を出し、自分が受講条件をクリアしているか確認すると安心です。
また、訓練前にキャリアコンサルティングを受けてジョブ・カードを作ることも必須条件になります。
受講開始の原則1か月前までに提出しなければいけないので、期間厳守で動くようにしましょう。
【やることメモ】
受講開始1か月前までにキャリアコンサルティング×ジョブ・カードを作成する。
※予約枠が埋まりやすいことも考慮し、早め早めの行動を心がけましょう。
早期のキャリア形成に有効な「特定一般教育訓練給付金」の仕組みと対象者

特定一般教育訓練給付金は、雇用保険に入ったまま資格取得をめざすと、受講料の一部が戻る仕組みの制度です。
指定講座を修了すると、教育訓練経費の40%(上限20万円)が支給されるのが基本です。
さらに、令和6年10月1日以降の受講開始なら、資格取得後や訓練修了後1年以内に就職できれば、10%(上限5万円)が上乗せされるため、最大50%(上限25万円)の受講費用が戻る仕組みになっています。
- 講座が指定講座で、受講開始日が指定期間内か。
- 受講開始日時点で雇用保険の要件期間(原則3年以上)を満たすか。
- キャリアコンサルティングとジョブ・カード作成が間に合いそうか。
受講開始日の扱い(入学日や初回出席日など)は講座側の定義で決まることがあるので、雇用保険期間などがずれ、給付対象外とならないように余裕をもって行動することが大切です。
そして、支給要件照会票は、ハローワークインターネットサービスでも確認ができます。
都合により対面が難しい場合は、こちらも検討してみるといいでしょう。
雇用の安定・就職に役立つ「一般教育訓練給付金」の仕組みと対象者

一般教育訓練給付金は、厚生労働大臣が指定した講座を受けて修了した人に、入学料・受講料などの一部が後から支給される制度です。
先に支払って修了後に戻る流れなので、申込前に初期費用を準備する必要があります。
一般教育訓練給付金の支給額は教育訓練経費の20%です。
例えば、30万円なら6万円、50万円なら10万円という計算です。
ただし、20%が4千円以下なら支給されない決まりなのでその点は注意する必要があります。
対象者は受講開始日までに雇用保険の被保険者期間が原則3年以上、初回利用なら1年以上となっています。
ただし、離職中でも資格喪失から1年以内などの条件を満たせば対象になるため、受講したいと思った人は、一度ハローワークに相談してみるといいでしょう。
- 受けたい講座が「指定講座」か確認する
→ 厚労省の検索(指定講座一覧)または講座公式サイトで確認 - 受講開始日時点で、雇用保険の要件期間を満たすか確認する
→ 不安なら、申込み前にハローワークで「支給要件」を照会しておくと安心 - 申請期限を先に押さえる(ここが最重要)
→ 原則、講座修了日の翌日から1か月以内が目安。
正社員が働きながら職業訓練に通うためのコツは?パターンごとに解説!
職業訓練は申し込めたかどうかよりも、最後まで続けることが大切です。
しかし、正社員の場合は仕事と勉強の両立が難しく、「もう続けられないかも…」と感じる場面もでてくるでしょう。
ここでは、挫折の原因をお金・時間・モチベーションの3パターンに分け、つまずきやすい場面の対策を紹介していきます。
小さな工夫で継続率は上がります。
あなたの状況に近いパターンからチェックして、無理なく学び続けるコツを掴みましょう。
「お金がない」を解決!費用負担を減らすための資金計画

在職者訓練なら比較的安くすみますが、教育訓練で学ぶ場合は「思ったよりお金がかかる…」と感じることがあるでしょう。
教育訓練給付制度は「比較的多くの資金を先に払う」とイメージしておくことが大切です。
一般教育訓練給付金は受講費用の20%(上限10万円)、特定一般教育訓練給付金は40%(上限20万円)が修了後に支給され、条件を満たすと追加で50%相当まで増える場合があります。
また、専門実践教育訓練は50%(年上限40万円)を受講開始から6か月ごとに受け取れますが、やはりこちらも初回費用は持ち出しです。
そのため、準備不足のまま申し込んでしまうと金銭問題から挫折につながることも…。
そうならないためには、以下のポイントを整理しておくことが大切です。
- 初回に必要な総額(受講料+テキスト代+交通費など)
- 入金予定日
- 資金が不足しそうな月
「戻る予定のお金」と「今あるお金」は別物、という感覚が大事になります。
足りない分は労働金庫の教育ローン、スクール内の分割払いなどを利用すると気持ちが楽になります。
また、資金をためるために申し込みを次回に延期するといった判断も選択肢として加えるようにしましょう。
「時間がない」を解決!時間を捻出するスケジュールのコツ
時間は「暇な時間ができるのを待つ」という感覚では増えにくいもの。
海外のレポート内でも、日本は成人学習の機会へのアクセスが非常に不平等であり、特定の成人グループでは研修への参加率が特に低いことが指摘されており、普段の生活のままでは学ぶ時間が増えにくいと考えられます。
そのため、物理的な戦略を練る必要があります。
具体的には、学習用の時間枠を先に確保すること。
その後、それに合わせて調整するというイメージです。
- 帰宅を30分前倒しし、その時間を学習時間にする。
- 土曜日の午前は予定をゼロにして、その時間を学習時間にする。
- 夜は寝る前の30分を学習時間にする。
まとまった時間が取れない日は、15分単位の積み上げでOK。
通勤は動画1本、昼休みは問題5問、寝る前は復習メモ…と学習法を固定するのもおすすめです。
習慣化するまでは大変かもしれませんが、習慣化すると「案外できるな」と感じられることでしょう。
休職して学ぶ「教育訓練休暇給付金」という選択もおすすめ!
教育訓練休暇給付金は、退職はせずに学びに集中したい人向けの雇用保険の給付制度です。
就業規則等に基づき、連続した30日以上の無給の教育訓練休暇を取得すると給付対象になります。
要件は「休暇開始前2年で被保険者期間12か月以上」「加入期間が通算5年以上」などです。
詳細は下記の表をご確認ください。
教育訓練休暇給付金の基本情報
| 対象者 | 雇用保険の一般被保険者(在職中の方) |
|---|---|
| 支給のタイミング | 教育訓練休暇の開始日から起算して30日ごと、ハローワークで認定を受けた後に支給。 |
| 給付額 | 離職した場合の基本手当(いわゆる失業手当)と同じ日額。 ※賃金や年齢に応じて決定され、上限・下限があります。 |
| 給付日数 | 雇用保険の被保険者であった期間(加入期間)に応じる。 ・5年以上10年未満:90日 ・10年以上20年未満:120日 ・20年以上:150日 |
| 留意点(労働者) | ・教育訓練休暇給付金を受給した場合、被保険者期間はリセットされます。 ・支給申請は正しく行ってください。 |
| 留意点(事業主) | ・解雇等を予定している労働者について虚偽の届出を行った場合、罰則の対象となります。 ・ハローワークから交付された書類は、速やかに対象労働者に交付してください。 |
まずは厚生労働省の制度ページを一度読んでみるとイメージがつかみやすくなるでしょう。
能力開発基本調査(令和6年度)によると、教育訓練休暇の導入は7.5%とまだまだ少ないのが現状です。
利用の前に、自分の会社が導入しているか確認が必要といえるでしょう。
「モチベーションが続かない」を解決!完璧主義を捨てた60点マインド
完璧にやろうとすると、一度つまずいただけで挫折してしまうこともあるでしょう。
そこで努力度数を60点程度まで下げ、“出席と最低限の提出だけは守る”といったように、完璧主義を捨てることが大切です。
具体的には、帰宅後の全時間を勉強時間にするのではなく、「食後15分だけ動画で勉強」「寝る前に20分だけテキストで勉強」など、「もっとできるかも?」くらいでやめてしまうのがコツです。
また、「1日できなくても翌日できたらOK!」といったように、加点方式で自分を評価するとモチベーションを保ちやすくなります。
他にも、SNSやコミュニティで仲間を見つけるのもモチベーション維持に効果的です。
悩みを共有できる相手がいるだけで、孤独感から解放されることでしょう。
そして、子育て中のママには託児所付きの訓練などがおすすめ!
育児との両立にも配慮してもらえる環境なら、意欲を保ちやすくなるはずです。
「育児中で子どもが心配」を解決!託児サービス付き訓練を活用する
「学び直したいのに、子どものお迎えや急な発熱が気になって決めきれない。」
——この不安は、預け先が読めないことから生まれます。
だからこそ最初に、託児(保育)付きの訓練があるかを確認することが大切です。
手順はとても簡単です。
- ハローワークインターネットサービスで訓練検索を開き、エリアと募集期間を絞る。
- 詳しい検索条件ページ内のフリーワードに「託児」「保育」を入力する。
- 開講時期と通学場所(最寄り)を見て、生活リズムに合うかイメージする。
そして、自治体の案内も心強いので自分の地域情報を確認することも大切です。
例えば、東京都は託児サービス付訓練を案内しており、訓練と保育を同時に考える前提で情報を提供しています。
また、市役所などに相談すると、一時預かりのようなサービスを紹介してもらえることがあります。
これは地域によってサービス状況が異なるので、気になる場合は子育て支援課などに相談してみるといいでしょう。
託児の枠は定員や対象年齢・地域などにより限定されることがあります。
申込みの際は、最新要件を必ず確認するようにしましょう。
職業訓練で年収UP!獲得スキルを昇進・転職に活かす方法
職業訓練は「受けて終わり」ではなく、年収アップにつなげてこそ価値が最大化します。
ポイントは、学んだスキルを“成果”として見える形にし、評価や採用の場で伝わる状態に整えること。
具体的には、
- 現職での業務改善・担当範囲拡大に直結させて昇進を狙う
- 資格や制作物で市場価値を証明して転職に活かす
- 訓練経験を活かした職務経歴書作成する
——この3ルートが王道になります。
ここでは、訓練で得たスキルを「昇進・転職の武器」に変える手順を整理しながら解説していきます。
評価につながる“社内”でのスキルの使い方
職業訓練で身につけたスキルは、修了した時点でそのまま異動や昇給につながるものではありません。
社内で評価が動くかどうかは、「スキルを学んだ事実」ではなく、「業務の中でどう使われているか」が周囲に伝わり始めてから決まるものです。
そこで、まず意識したいのは、現在の業務の延長線上でスキルを使うこと。
無理に新しい役割を求めるのではなく、日常業務の質や効率を高める形で活用していくことが重要です。
- Excelやデータ分析スキルを使い、定型業務の集計や資料作成を効率化する。
- ITやWebの知識を活かし、部署内ツールの運用や改善をサポートする。
- 専門知識を活かして、他部署との調整や説明役を担う。
こうした積み重ねによって「任せられる仕事」が増えると、業務内容の変化や配置転換といった選択肢が現実味を帯びてきます。
異動願いや評価面談でスキルの話が出るのは、多くの場合、その後です。
焦って交渉から始めるのではなく、まずは社内でスキルが使われている状態をつくることが、結果的に評価やキャリアアップにつながります。
社内評価が変わらないなら転職活動も視野に入れよう!
任せられる仕事は増えているのに評価が変わらないと不満がたまっているなら、転職活動も視野に入れてみましょう。
社内の評価は部署の空きや上司の方針で止まりやすく、学びの成果がすぐ反映されないことがあります。
だからこそ、職業訓練で身につけたことを転職活動という場で一度試してみると気持ちが軽くなるでしょう。
厚生労働省の人材開発政策関係資料集では、離職者向けの施設内訓練の就職率が86.4%(令和5年度速報値)と記されています。
この数字を見ると、就職訓練は就職につながりやすい有力な学びであることがわかります。
そのため、訓練の前とあとではあなたの価値は確実に上がっているといえるのです。
とはいっても、転職エージェントの中には実績に重きを置くものもあります。
そのため、学んだことを実践で使っていない場合は強みとして活かせないこともあるでしょう。
- 社内で確かな実績を作る。
- ダメもとで会社に昇給などの相談をしてみる。
- 転職エージェントを使う場合は実績が必要か否かを事前に確認する。
不満があると急ぎ足でことを進めたくなりますが、転職前こそ深呼吸をしましょう。
長く心地よく働ける職場を見つけるためには、「急がば回れ」の精神を忘れないことが大切です。
実務未経験なら訓練経験を活かした「職務経歴書作成」からスタート!
就職や転職の際は、即戦力になるかどうかを判断するポイントとして“実務経験”を見ることがあります。
そのため、実務未経験者は即戦力になれるということを明確にアピールすることが大切です。
例えば、訓練で作った成果物は未経験でも職務経歴書の中心材料にできます。
授業名を並べるより、仕事の流れに寄せて整理すると、さらにアピールができるでしょう。
訓練名・期間・使用ツールもしっかりと記載。
その上で、実際に作った制作物を2〜3件提出するようにしましょう。
また、制作物に、目的/担当/手順/工夫/結果(数値・URL)を記すことで、相手が「現場ならこう活かせるだろうな」とイメージしやすくなります。
実務経験がないと不安に感じることもあるかもしれませんが、一生懸命学び続けた時間を思い出して、自信を持つように意識することが大切です。
職務経歴書のひな型が欲しい人はジョブ・カードを活用するのもおすすめです。
【FAQ】正社員が働きながら職業訓練に通おうとした際によくある質問
正社員のまま職業訓練を検討すると、制度そのものより先に「欠席はアウトかな?」「給付金って税金どうなるの?」「そもそも自分でも受けられる講座ある?」と不安になることがあります。
ここを曖昧なまま進めると、申し込み後に条件が合わずにやり直しになったり、職場との調整で詰まったりするため、まずは不安を解消することが大切です。
ここでは、働きながら職業訓練に通う人が実際に迷いやすい3つのポイントを、簡潔丁寧に整理していきます。
ここでしっかりと不安を解消してから、講座選びと手続きを進めるようにしましょう。
Q1.在職者訓練は欠席できますか?欠席する際の注意点も知りたいです。
欠席はできます。
ただし在職者訓練は「出席した時間」で修了証明書の可否が決まるため、注意が必要です。
JEED公式サイトのよくあるご質問ページを見てもわかるように、多くの職業訓練校の在職者訓練は、修了証明書の発行に「計画時間数の80%以上の出席」を必要としています。
また、12時間コースは全時間の出席が必要であるとも記されており、短時間講座は全時間の出席が必須となるケースが多いことがわかります。
そして、公共職業訓練などで給付を受ける場合も出席が支給要件になっているため、欠席が続くと支給対象外になることもあるでしょう。
・訓練実施日全てに出席する(やむを得ない理由により欠席し、証明できる場合(育児・介護を行う者や求職者支援訓練の基礎コースを受講する者については証明ができない場合を含める)であっても、8割以上出席する。)
病気や育児・介護などで休む可能性があるなら、まずはハローワークの窓口で先に相談しておくと安心です。
また、民間の講座(教育訓練)は受講日を自由に選べるケースもあるため、柔軟性を重視する人は利用する制度そのものを再検討するのもいいでしょう。
【キャンセル時の注意点】
もし、受講を取りやめるなら、訓練期間の開始前の手続きを心がけましょう。
施設によっては“開講〇日前を過ぎると受講料が戻らない”と決めていることもあるので、余裕を持った決断・行動が大切です。
Q2.専門職じゃない人が受けやすい在職者訓練の講座はなんですか?
専門職でなくても受けやすいのは、日々の仕事にすぐ使える「事務・ITの基礎」系です。
ExcelやPowerPoint、資料作成、データ集計、会計の初歩、ビジネス文書などは職種を問わず、様々な場面で役立ちます。
<東京都の在職者訓練の一例>
| 属する職種によって受講の可否が決まる講座 | 比較的受けやすい講座 |
|---|---|
| ♦専門職のスキルアップ講座系など 例) ・第二種電気工事士(実技)受験対策 ※受講対象者は「電気関係の従事者」 ・年末調整の実務 ※受講対象者は「総務・経理事務の従事者」 ・介護技術の基礎 ※受講対象者は「介護関係の従事者」 | ♦事務系や情報系など 例) ・基本情報技術者 受験対策 ※受講対象者は「当該試験を受験する方」 ・ 2級簿記 受験対策 ※受講対象者は「日商簿記3級合格」+受験予定 |
- Excelや資料作成など「職種共通」の内容からチェックする。
- 対象者欄を先に確認する。
- 費用・教材費・前提条件も募集要項で確認する。
教育訓練給付金を使った民間講座よりも、在職者訓練はお得にスキルアップできる可能性があります。
まずは、“①在職者訓練で探す→②希望する講座がなければ民間講座も検討する”という流れをイメージして講座を探してみるといいでしょう。
探すときは最寄り施設の講座一覧で、開催日・時間帯・対象者欄を先に確認すると安心です。
もし迷ってしまったときは、ハロートレーニングの案内どおりハローワークに相談するようにしましょう。
Q3.給付金をもらったら、年末調整で書かないといけないのでしょうか?
結論からいうと、受け取ったのがハローワークからの教育訓練給付金であれば、原則として年末調整に書く必要はありません。
年末調整は、勤務先が「給与」にかかる所得税を精算する手続きです。
一方、教育訓練給付金は雇用保険の給付として扱われます。
雇用保険の給付は雇用保険法により公課(税金)を課さないとされているので、調整に書く必要はないということになります。
(公課の禁止)第十二条 租税その他の公課は、失業等給付として支給を受けた金銭を標準として課することができない。
出典:雇用保険法
ただし、同じ「給付」でも、会社から研修費の補助を受けた場合や、別制度の金銭を受け取った場合は扱いが変わることがあります。
また、確定申告で給与所得者の特定支出控除を研修費などとして検討する場合は、給付で補われた金額分を差し引いて計算しなければいけません。
このように、あとで確認したり申請したりするケースも0ではないので、入金通知や支給決定通知書、通帳の記録はしっかりと保管しておくようにしましょう。
まとめ:正社員が働きながら学ぶなら、「在職者訓練」「教育訓練給付」がおすすめ!
正社員のまま職業訓練を考えるとき、いちばん大切なのは「制度を勘違いしないこと」です。
職業訓練と聞くと“月10万円”のイメージが強いですが、基本は離職中の人向けなので注意が必要です。
もし、正社員が働きながら学ぶなら、「在職者訓練」「教育訓練給付」が有力候補。
最後にもう一度、「在職者訓練」「教育訓練給付」2つの制度を確認してみましょう。
- 在職者訓練
短期・低負担で、夜間や土日など「通える時間帯」に合わせやすい。
- 教育訓練給付
自己負担を抑えて、幅広い講座から選んで学べる。
あとは「あなたが何に困っているか」でイメージできればOKです。
長期計画が厳しいなら在職者訓練で短期習得を目指す。
受講講座がみつからないなら、教育訓練給付金を活用する。
——迷ったら、まずは在職者訓練で小さく始めて、手応えが出たら教育訓練給付で一段上げる、という順番も現実的です。
働きながら学ぶのは、簡単ではありません。
それでも、あなたが“変わりたい”と思った気持ちは、きっと今後のキャリアにとって大きな転機になります。
焦らなくて大丈夫です。
続けられる一歩を、今日から始めましょう。
※)注意点本記事は最新情報を記載するように努めていますが、制度は改正されることがあります。最新情報は公式サイトなどで確認するようにしましょう。

